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乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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こんなに良くできたファンタジーなのに心がときめかないのは・・・なぜ?

かつて「ネバーエンディング・ストーリー」というファンタジー映画の名作があった。現実と幻想の世界が入り交じった世界観、ファルコンを初めとする魅惑的なキャラクターもとても印象的で子供心を散々くすぐられた思い出があった。この「スパイダーウィックの謎」もファルコンに相当する飛ぶ妖精・グリフィンの迫力ある飛行シーンなどみていると、「ネバーエンディング・ストーリー」の現代版と言ってもいいのではないかと思えた。

幻想的な生き物はパペットからCGに代わったが、少年が冒険心をくすぐられて巻き込まれていく手法は同じだ。違うといえば、家庭問題が複雑になった事が色濃く物語に織り交ぜられている事ぐらいか?まぁこれも原作ものらしいので、ファンタジーとしての根っこが似通っている部分は多かれ少なかれあると思われるが良く練られていると思う。ワクワクドキドキの冒険ファンタジーがスクリーンで確かに展開されていた。

しかし個人的な事で申し訳ないんだが、観終わった後にファンタジーを全面に押し出されているだけの映画ではもう心がときめかないことに気付いた。そう、俺の心にはもうピュアな童心と呼べるものは無い・・・だって俺はもう焼酎が手放せない年なんだ!ファンタジーでも主人公が死ぬ可能性を示唆するリアルさが欲しいし、思わず唸ってしまうドンデン返しを期待したい。

<GOOD POINT>
1.妖精たちの造形が良い。この手の映画にはありえないくらいにグロい妖精(ゴブリン、トロールなど)たちが多くて良いセンスと思った。また花の妖精などは対称的にとても神秘的に描かれ、その斬新なアイデアもとても気に入った。悪は悪、善は善という子供にも分かりやすい見せ方だ。

<BAD POINT>
1.物事は常に「謎の本」によってルール化されている。それはいいのだが、構成の上で常に謎を後追いするのはいただけない。つまり何故か不可思議な事が起きていて、その後に本を捲りながら「これは○○のしわざだな」という様な展開である。これはある意味でルール破りの「デスノート」みたいなもので、なんでも肯定できてしまう悪いやり方である。なにかしらのカセがないと物語は膨らんでいかないものだ。

2.ジャレッド(フレディ・ハイモア)がアーサー・スパイダーウィックに会う肝心シーンがあるのだが、これって物語には全く役に立っていないと思う。つまり助けを求めたのだが、何も助けてくれなかったのだ・・・なんだ、それ?って思ったのは俺だけだろうか?
(IE5)

スパイダーウィックの謎 - goo 映画


ネバーエンディング・ストーリーの予告編(海外版)、あの頃のピュアな心よもう一度!

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変態家族もみんな今では偉い人

「逆噴射家族」は日本アート・シアター・ギルド(以下ATG)という会社の作品。ATGは映画製作会社、初期は芸術映画を主に海外の映画を紹介しているだけだったが、後期は資金1000万円で映画を作るというルールの下に数多くの新人監督の発掘にも繋がった。日本映画史に外す事はできない一面を持つ。その流れに乗って生まれたのがこの作品。

父役・小林克也、母役・倍賞美律子、息子役・有薗芳記、娘役・工藤夕紀、お爺ちゃん役・植木等という、大御所・ベテラン揃いの役者陣が完全なる変態家族になっているんだから映画というのは恐ろしいものである。監督の石井聰互は最近はパッとしないが、この作品は演出が一番乗っているころと思われる。個人的には舌足らずな工藤夕紀と元気いっぱいな植木等がお気に入り、この二人は最後はえらいことになってしまうのだが、役者というのは大変な仕事である。


<GOOD POINT>
1.資金が1000万しかないので脚本にかなり負担が掛かると思われるが、書いた小林克也はその辺を良く分かっている。基本的には家を一軒借りて、映画は殆どその中でしか展開しない、所謂ワンシチュエーション・コメディだ。でも高度成長期やらドーナツ化現象という社会問題も織り交ぜられているように感じられて奥深い。しかしラストで家を壊しているので本当に1000万で作られているのかは疑問が残る所でもある。

2.制作費の関係と思うが音楽は殆ど入っていない。しかしそのぶん効果音はバシバシ響いてくる。家族同士の泥沼対決で各自の武器が唸っていくのはなかなか迫力が出ていて良い。個人的には映画は音がダメだと全部ダメと思っている、画は少々ピンぼけでも見れてしまうが、何を喋っているのか分からないとか効果の無い効果音だったりするととても最後まで観ていられない。

<BAD POINT>
1.まぁ特にどうって事はないのだが、基本的には「お父さんの暴走」の話であるのだが、途中からお父さんがブチきれる動機が取って付けたような感じに見える。まぁ、映画的にはクライマックスに向けてドンドンと盛り上がって行かなくてはいけないので間違いではない・・・まぁ低予算映画の宿命ともいえるのだが。
(IE5)

逆噴射家族(1984) - goo 映画


舌足らずな工藤夕紀とはこんな感じです
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この映画に見るアジア映画の未来

監督と務めたアン・リーは台湾出身ながらアメリカに渡り映画の勉強を続けた人。「グリーン・デスティニー」でアカデミー外国語映画賞を獲得した時点でアジア出身監督としては最も成功した人物と言えるだろう。更に「ブローバック・マウンテン」で名声を高めハリウッドでも完全にその地位を確保している。この「ラスト、コーション」は4カ国の合作だが、ハリウッドの資本力を得た生粋の台湾人が祖国を題材に映画を作っているという図式が浮かび上がる。実はこの図式こそ未来の映画製作の可能性を秘めた作り方だと以前から思っていた。

かつてハリウッドでもアジアを取り扱った作品は多かったが時代考証など適当も良いところで、日本でも「コンタクト」や「キル・ビル」などの日本描写は失笑が起きて記憶に新しい・・・ようやくイーストウッドが「硫黄島からの手紙」で日本人から文句なしの作品を描いたが、大方のアメリカ人は所詮そこまでの作家性がないのか適当な画が多い。

しかし個人的には、その国を描くのはその国の人間が一番良いと思っている。文献や資料で完璧なまでにセットや衣装を再現しても、そこに生きる人間の奥底に秘めた気持ちや考えの機微を描くことは他国の人では分からない部分があると思うのだ。しかし、スケールの大きさを求めれば制作費が必要でハリウッドの莫大な資金力が魅力的となる。世界を見回してもハリウッド以外に年間数十億単位の映画を50本以上作れる場所はないハズだ。

という夢を実現させているアジア人がアン・リーであると思う、ついでにいうと残念ながらジョン・ウーはハリウッドに飲まれ作品的に成功しているとは感じる事ができない、やはりハリウッドに体は提供しても魂は売ってはいけない。アン・リーに続くような人間が日本からも出て欲しい、そうすればハリウッドの資本力をバックに日本の精神を損なわない素晴らしい作品が出るに違いない。ただその道は果てしなく険しいが。

<GOOD POINT>
1.日本軍占領下の上海を舞台にしているが、実に見事に当時を再現している。中でも驚いたのが日本軍の描写で日本映画よりも余程当時の軍人らしく撮られている。「鬼が来た!」でも感じたが、向こうが見る日本軍のイメージには恐怖が入っていると思う。日本が描くと道徳的な軍人か規律バカの軍人かが殆どなのでリアリティは全然負けている。あと料亭の宴で謳う芸子の声を聞いたイー(トニー・レオン)の「なんて外れた音だ・・・悲しい」というセリフに国民性の違いも出ていて上手いと感じた。もちろんその後に謳うワン(タン・ウェイ)の美声は素晴らしいの一言だ。

2.イーの密書を届けると実はそれが宝石でワンへの贈り物という捻りは唸った。ここでのワンの表情は非常に複雑で、映画を通して執拗なまでに心を揺さぶられる彼女の最大の要因(宝石という意味ではなくてイーがどれだけ自分を思って必要としているか)となるアイデアだった。過激な性描写という触れ込みばかりが公開前から紙面を賑わしていたが、その性行為の激しさも映画の中では充分な必要性を持っていると感じた、それも心の揺さぶりを大きくするための要因なのである。クライマックスの完成した指輪を取りに行くシーンのワンの表情は本当に哀しい。

3,イーという男は日本で言うなら幕末の浪士みたいな印象だ。死と隣り合わせの毎日で信用できる人間は己のみ、側近ですら一切の情を漏らすことができない。そういう男だから女を求めるときは非常に激しい、その時だけに感情を燃やすことができるのだと思った。こういう役柄も非常に難しいと思うのだがトニー・レオンは実に上手い、ラストシーンのベッドで妻に「下で麻雀をやりなさい」という表情の裏にとても言い表せない感情がこもっていた。

<BAD POINT>
1.歴史的な背景がイマイチ掴めない所があった。人並みには歴史は分かるほうだが、やはり日本軍とイーの関係を見せるシーン(料亭でも直接的な行動は無い)が一つも無かったのはやや説明不足か。まぁ、日本に情報提供しているという事とそれを許せない人達の構図が分かるので大きな問題では無い気もする。
(IE5)

ラスト、コーション - goo 映画
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いったい何を考えているんだクリス・クーパー!

なかなかイカした邦題である。外国映画はそのままのタイトルでは意味が伝わらないものも多く各国の配給・宣伝会社が知恵を絞りながら考えるわけだが、そのアイデアもさることながら許可をもらう労力も大変なものらしい。とにかく映画を分かってもらえるタイトルは最低条件でそこから興味を惹かせないといけないので裏では激しい攻防が繰り広げられている。でも邦題は世界でもセンスが良い物が多いと思っているが。

国家情報を20年以上も海外に売りつけていたFBI捜査官ロバート・ハンセンの逮捕は、当時アメリカ全土に衝撃が走った大事件だったらしい。この事件に基づいた映画なんだが、まぁよくもこんな男を逮捕できたなぁというのが観終わったあとの素直な気持ちだった。しかし原題でもスパイはいるんだなぁ・・・日本でも色々と謎の事件が起こっているが意外にこの映画に描かれている事と遠くないのかもしれない。

<GOOD POINT>
1.この映画はロバート・ハンセンを演じたクリス・クーパーの圧倒的な演技力に尽きると思う。実際の人物もそうだったのかもしれないが、とにかく紳士的な仮面の裏に執拗な用心深さと敬虔なキリスト信者とアブノーマルな一面を織り交ぜた男を見事なまでに演じている。とにかく何を考えているのか分からないのである、ハンセンの尻尾を捕まえる為に送り込まれたエリック・オニール(ライアン・フィリップ)も捜査がバレないように完璧な仕事をしているのだが、「全部、知ってるぞ」という雰囲気を仕草や目線一つで醸し出しているクーパーの演技は絶賛に値する。とくにカバンを怪しんでいるときの演技とハンセンの部屋で父親の話をしている時の目線の使い方(写真立てとパソコンを同じ方向に置いている演出も良い)はドキドキする。

2.構成が良い、初めてハンセンとオニールが出会った時にかなりの警戒心がハンセンにあるので「こりゃ捜査は無理だろ」と思わせるのだが、オニールが書いたファイルのデキの良さをキッカケに距離が縮まっていく。本来ならご都合主義なのだが、全ては裏で計画されたロバート・ハンセン対策委員会の計画プランに乗っ取ったものという事が分かった時に「おぉ!」と拳を叩いてしまった。こういった脚本は一筋縄ではいかないが、現実の世界の方が凄いもんだ。

3.この作品は宗教の信仰心を上手く利用した脚本になっているが、信仰心の深さをハンセンの妻>ハンセン>オニール>オニールの彼女と書き分けていて上手いなと思った。個人的にはこの描き方の裏には信仰心が高いほど盲目な部分が多いという事を感じたのだが、なかなかこういった題材を映画にぶち込む事はタブーとされているのだが上手く取り入れた珍しい作品と言えるだろう。

<BAD POINT>
1.クライマックスは夜の公園でも最後の嘘を暴こうとするシーンになるのだが、ちょっとクライマックスとしては前すぎる。事実に基づいているから仕方のないことだが、ラストでハンセンが捕まるところのシーンは緊張感は全くない。家の前でポケベルで「無事に捕まえた」という文字を観ているだけのオニールっていうのはどうなんだろ?まぁ最後にエレベーターで出会うのだが・・・事実を少し脚色できるなら逮捕時に現場にオニールもいるべきだっただろう。

2.パーキンソン病のオニールの母というのは実在したのか?パーキンソン病自体は嘘であるようなセリフが飛び出していたが、父親は出て来たのに母親は1カットも出てこなかった。もし母親がいないとしたらハンセンにバレたら一発でアウトだろうし、ハンセンくらいの男なら部下の周辺の事は全部調べ上げると思うので最後までそこが気になっていたが何も起こらなくて肩透かしを喰らった印象だ・・・これも事実に沿っていると言われればそれまでだが。
(IE5)

アメリカを売った男 - goo 映画
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/9869aebdd0d7afb9e0b59b286d3beb70/1209133362  88点

古き良きハリウッドスポーツ映画時代の晩年期

二夜連続で野球ものだが、これも名作野球映画。見出しにも書いたが俺が思う良きハリウッドスポーツ映画とは、そのスポーツを通して輝かしい人間ドラマが描けている映画だ。あくまで野球は人間ドラマを掻き立てる一つのスパイスであるかのように・・・されど野球の魅力はスクリーンから満ち溢れている、これこそが俺にとっては極上のスポーツ映画だ。しかしながらCGが導入されてある意味でなんでも描けてしまうようになってから、どんどんハリウッドスポーツ映画は面白くなくなった、画は迫力があるのだが逆に嘘っぽく見えてしまうのである。必死にスポーツしている姿から離れてマンガの世界になっていることに作り手は気付いているのだろうか?そういう意味でもこの作品は良きハリウッドスポーツ映画の晩年期の名作と言えるだろう。

先に書いた「がんばれ!ベアーズ」は野球に対するワクワク感が心地良かったが、「プリティ・リーグ」は第二次世界大戦という背景に作られた埋め合わせ女性リーグという珍しさとベアーズ以上の個性が集まったチームの活躍が最高に楽しくさせる。監督は(またしても!)アル中の元名選手ジミー・ドゥーガン(トム・ハンクス)、選手は男顔負けの体格とボールを投げる美人ピッチャー、ドティ・ヒンソン(ジーナ・デイビス)を初めお色気満載のメイ(マドンナ)、ブスというコンプレックスを抱えるパワフルバッターとか子連れとか、まぁよくもここまで考えたなぁというくらいにキャラクターを書き分けている点が素晴らしい。

日本は女子のスポーツは盛んだが殆どこういった類の映画は作られていない。ソフトボールは世界レベルだし、サッカーも良い線を行っている。少し過去をたどればもっとドラマチックな題材だって転がっているはずだ。意外な盲点になっているのではないか?

<GOOD POINT>
1.彼女たちのプレーが当時の新聞に掲載されるシーンの作り方は本当に素晴らしいし勉強になる。史実に基づいた作品だが、写真に撮られた彼女たちは本当に第二次世界大戦の中で野球をやっていた女性の顔をしているのである。演出もさることながら、写真の構成もコリにこっていて感動的だ。

2.時代的なモノが大きいが、プリティ・リーグで活躍する女性はとても女性らしい。「ああ、アメリカも昔はおしとやかな女性が多かったんだ」と歴史風俗の勉強になった。別に今が悪いとは思ってないけれど、少なくともこの時代は今よりもみんなが助け合い一つになる事を当然と思って生きている。今の時代に無くなってしまった精神をスクリーンで蘇らせているのは「レナードの朝」のペニー・マーシャルが魅せる確かな演出だ。

3.あくまで個人的な好みだがジミー監督が噛みタバコの唾液を「チッ!」と吐き出す仕草が汚らしいんだけど男らしさを感じさせる。後半でドティも並んで噛みタバコを始めるが、女なのに男同士の友情を観ているようだった。現在のアメリカはかなり禁煙国家になっているために、なかなか劇中でもタバコのシーンは出てこない(日本もその傾向が強い)。しかしながらタバコは映画の小道具としてはこれ以上使い勝手の良いものは無いくらいに万能なのだ。せめてスクリーンの中だけは良いんじゃないかって思ってしまう。

<BAD POINT>
1.野球のプレー自体はドティの剛速球以外に大した見せ場がなかったのはちょっと残念。ある意味で「がんばれ!ベアーズ」の方が勝っている気がする。もう一人くらい凄い選手を入れた方がリアリティはあったのだが・・・まぁ女性監督だからとは言いたくない。
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プリティ・リーグ(1992) - goo 映画
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