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乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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この映画に見るアジア映画の未来

監督と務めたアン・リーは台湾出身ながらアメリカに渡り映画の勉強を続けた人。「グリーン・デスティニー」でアカデミー外国語映画賞を獲得した時点でアジア出身監督としては最も成功した人物と言えるだろう。更に「ブローバック・マウンテン」で名声を高めハリウッドでも完全にその地位を確保している。この「ラスト、コーション」は4カ国の合作だが、ハリウッドの資本力を得た生粋の台湾人が祖国を題材に映画を作っているという図式が浮かび上がる。実はこの図式こそ未来の映画製作の可能性を秘めた作り方だと以前から思っていた。

かつてハリウッドでもアジアを取り扱った作品は多かったが時代考証など適当も良いところで、日本でも「コンタクト」や「キル・ビル」などの日本描写は失笑が起きて記憶に新しい・・・ようやくイーストウッドが「硫黄島からの手紙」で日本人から文句なしの作品を描いたが、大方のアメリカ人は所詮そこまでの作家性がないのか適当な画が多い。

しかし個人的には、その国を描くのはその国の人間が一番良いと思っている。文献や資料で完璧なまでにセットや衣装を再現しても、そこに生きる人間の奥底に秘めた気持ちや考えの機微を描くことは他国の人では分からない部分があると思うのだ。しかし、スケールの大きさを求めれば制作費が必要でハリウッドの莫大な資金力が魅力的となる。世界を見回してもハリウッド以外に年間数十億単位の映画を50本以上作れる場所はないハズだ。

という夢を実現させているアジア人がアン・リーであると思う、ついでにいうと残念ながらジョン・ウーはハリウッドに飲まれ作品的に成功しているとは感じる事ができない、やはりハリウッドに体は提供しても魂は売ってはいけない。アン・リーに続くような人間が日本からも出て欲しい、そうすればハリウッドの資本力をバックに日本の精神を損なわない素晴らしい作品が出るに違いない。ただその道は果てしなく険しいが。

<GOOD POINT>
1.日本軍占領下の上海を舞台にしているが、実に見事に当時を再現している。中でも驚いたのが日本軍の描写で日本映画よりも余程当時の軍人らしく撮られている。「鬼が来た!」でも感じたが、向こうが見る日本軍のイメージには恐怖が入っていると思う。日本が描くと道徳的な軍人か規律バカの軍人かが殆どなのでリアリティは全然負けている。あと料亭の宴で謳う芸子の声を聞いたイー(トニー・レオン)の「なんて外れた音だ・・・悲しい」というセリフに国民性の違いも出ていて上手いと感じた。もちろんその後に謳うワン(タン・ウェイ)の美声は素晴らしいの一言だ。

2.イーの密書を届けると実はそれが宝石でワンへの贈り物という捻りは唸った。ここでのワンの表情は非常に複雑で、映画を通して執拗なまでに心を揺さぶられる彼女の最大の要因(宝石という意味ではなくてイーがどれだけ自分を思って必要としているか)となるアイデアだった。過激な性描写という触れ込みばかりが公開前から紙面を賑わしていたが、その性行為の激しさも映画の中では充分な必要性を持っていると感じた、それも心の揺さぶりを大きくするための要因なのである。クライマックスの完成した指輪を取りに行くシーンのワンの表情は本当に哀しい。

3,イーという男は日本で言うなら幕末の浪士みたいな印象だ。死と隣り合わせの毎日で信用できる人間は己のみ、側近ですら一切の情を漏らすことができない。そういう男だから女を求めるときは非常に激しい、その時だけに感情を燃やすことができるのだと思った。こういう役柄も非常に難しいと思うのだがトニー・レオンは実に上手い、ラストシーンのベッドで妻に「下で麻雀をやりなさい」という表情の裏にとても言い表せない感情がこもっていた。

<BAD POINT>
1.歴史的な背景がイマイチ掴めない所があった。人並みには歴史は分かるほうだが、やはり日本軍とイーの関係を見せるシーン(料亭でも直接的な行動は無い)が一つも無かったのはやや説明不足か。まぁ、日本に情報提供しているという事とそれを許せない人達の構図が分かるので大きな問題では無い気もする。
(IE5)

ラスト、コーション - goo 映画
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