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乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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圧倒的な映像美、圧倒的なダニエル・デイ=ルイス

2008年アカデミー撮影賞、主演男優賞を獲得。8部門にノミネートされ前評判では「ノーカントリー」との一騎打ちが噂されていた作品。結果的には作品賞、監督賞など4冠を持って行かれたが、評価的にはどちらも内容は素晴らしく個人的には「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の方が心に残るモノが大きかった。

ポール・トーマス・アンダーソンはもともと映像美にこだわる監督だが、この作品がスクリーンに映し出す画はどこを切り取っても一枚のポートレートになる位に素晴らしい。石油を掘る荒れ果てた荒野を人物配置と遠近感を上手く利用し、映画でしか表現できない空間の拡がりで見せている。そのなかで汗と泥にまみれながら一攫千金を夢見て大地と格闘するダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)姿にこの映画の全てが詰まっていると言えるかも知れない、冒頭15分はセリフが「金だ!」の一言だけで延々と作業しているのだが無駄なセリフは映画を邪魔するという格言を体現している素晴らしいオープニングだ。

この映画のテーマでもある「血」だが、映画の中では血縁という事を指していると感じた。家族や親類との血、イエス(つまり神との繋がりを示す)との血、血縁とは関係の無い者も含めて「繋がって生きていく」事に対して問いかけ続けている。石油で富と名声を得ていくダニエルと孤児という秘密を隠して育てていく息子のH.W(ディロン・フレイジャー)との関係をはじめ「第三の啓示教会」を名乗る新興宗教のリーダー・イーライとの繋がりたくないけど繋がらざるを得ない関係などは脚本の巧さと俳優陣の演技力の高さが光る。

<GOOD POINT>
1.映像美の中でも一番と思われるのは、掘削現場からガスが吹き出す〜石油が天に向けて噴き出す〜引火して火柱があがるという一連のシーンだ。普通ならパニックアクション的に撮影しそうなものだが、H.Wを救出するシーンさえもカメラを寄せずに殆どミドルからワイドでゆっくりとした移動で見せている。観客に野次馬的な距離感を与えて傍観者的に事件現場を見せているような感覚になるのだ。だから火柱の炎に美しさを感じるのだろう、良い勉強になる。

2.ダニエルの演技力の高さは言葉では言い表せない、とにかくその時代に生きた人間をそのまま撮影しているようにしか見えないほどに20世紀末の男というものを演じている。感心するのは汚れ方である、汗と泥にまみれてと書くと簡単だが映画の中のダニエルは本当にドロドロなのである(もちろん他の労働者も)。よく日本のドラマだと顔にメイクで泥と汗をつけているが妙な清潔感が漂うものが見受けられるが、よくあれでカメラを回すなぁと思って観ている。毛穴から吹き出ているように感じさせないと汗とはいえないし、それに混じって皮膚にべっとりつくのがススである。そういった映画ではペーターゼン監督の「Uボート」の中で働く船員たちのヌメリとした汗が大変印象的なのだが。それとはひと味違った本物の汗と泥のまみれ方を見つける事ができた。

<BAD POINT>
1.ポール・サンデーが双子の兄弟でその弟がイーライ・サンデー(どちらもポール・ダノが演じている)という設定が映画を観ているだけでは分からない。なんでダニエルに気付いていないんだ?と訝しく思った。もしかしたらポールとダニエルの会話のシーンでそれとわかるようなセリフが交わされていたのかもしれないが・・・それにしてもその後のイーライが重要人物になるので丁寧に描いても良かったと思うのだが。
(IE5)

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド - goo 映画
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jyakenn.gif蛇拳は俺も語りたい

IE5が取り上げたので、俺も同じ映画で感想を。今、改めて調べてみた所、ジャッキーのモンキーシリーズは4作しかない。蛇拳以外は、酔拳(ドランクモンキー)、天中拳(カンニングモンキー)、笑拳(クレイジーモンキー)の3作である。この内、蛇拳と酔拳はほとんど同じスタッフやキャスト(師匠や敵役が同じ)で作られたらしい。と、いうことに25年近く経ってから今知った。どおりで、区別がつきにくいはず。さらに言えば、蛇拳と酔拳以外は、当時でも一段落ちの印象があるので、つまるところ、この蛇拳と酔拳が、この手のカンフー映画の原型といえる。(ドラゴンボールの桃白白やバーチャーファイターのラウ等もこれが元)

まあ、細かいストーリーや複雑なストーリーは必要ないのである。いや、むしろ邪魔だろう。実際、映画の作りは、どれもよく言えば大らか、悪く言えば大雑把である。ただ、ジャッキーと師匠と大ボスのキャラだけは異常に立っている。彼らの身体能力だけで成り立っているといっても過言ではない。当時小学校だった俺は、観終わった直後は大興奮であった。今の小学生には、どう見えるのか? もはや思い出補正が外せないほど、何回も観ているので、客観的に見られないのだが、CG映画全盛の今、むしろ新鮮ではないか。

俺の感想としては、これは大人の癒し映画だと思う。この映画の中では、わかりきった事以外は起こらないし、ジャッキーはいつでも最高の技の切れを見せてくれる。ほんのひと時、現実を忘れてあのカンフーの風切り音に身を任せるのも楽しいと思う。

評価点:75点
因みにこのモンキーシリーズ以外では、木人拳等は面白かったが、総じて、「何か違う」感じがする。俺の小学生時代は、この4作に凝縮されているのだろう。
(KIURA)
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体のキレが半端じゃ無い!ああ、ジャッキー万歳!

いま改めて観るとジャッキーの若いこと、まぁ撮影時が20代前半という事を考えれば当然なのだが、この映画が長年の下積み生活と決別すべき出世映画ということは間違いないだろう。ちなみに写真はパンフレット(もしかしたらポスターかも)と思われるがジャッキーの顔は全く似ていないし後ろに隠れる金髪の美女は1カットも出てこない・・・そんな適当さだが時代も時代なのでクレームはでなかっただろう。

しかしながらカンフー映画には珍しく物語は結構練られている、しかも単純明快で子供でも100%理解できること間違いなしだ。主人公の簡福(ジャッキー・チェン)が苛められながらも純真な心を失わずに生きていく姿に誰もが応援したくなるのである。更にカンフーシーンが文句なく素晴らしいのでブームに火を付けたのも当然と思われる。オープニングで蛇の型を決めるジャッキーの鬼のような技のキレを観ているだけで興奮してしまう・・・すごいぜジャッキー!

<GOOD POINT>
1.カンフー映画の魅力を考えた時に個人的には、A:ワザの形の格好良さ(あるいは珍しさ)B:師匠(あるいは兄貴分)との修行シーン C:クライマックスの決闘シーン。これら三つの要素がどれだけ練られているかが勝負とみている。スネーキーモンキーはこの三つの要素を実に丁寧に描いているところに好感がもてる。これから数年の間にブームに乗って腐るほどのカンフー映画が作られるが、その殆どがこの三つの要素を満たしていない為、公開後に次々にジャンクされてこの世から姿を消している。 現代まで残っている初期カンフー映画の半数がジャッキー映画と言うことがどれだけ凄いかが分かる。

<BAD POINT>
1.まぁカンフー映画に出て来る人物は適当なキャラクターが多いのだが、ハッキリ言ってどの映画も同じタイプの人間で固められている。これはおそらく俳優が変わってもステレオタイプにしておけば素早く撮影ができるからと思われる。実際に殆どのストーリーの骨組みは同じであり、師匠がじいさんか兄貴かの違い、殺されたのが親か兄弟の違いくらいのものである。それほどまでにカンフー映画は量産されていたという証明でもあるのだが。
(IE5)

スネーキーモンキー 蛇拳(1976) - goo 映画
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ドラマでは絶対に描けないラブストーリー

ドラマと映画とは似て非となる事は語られる事が多い割に意外に気付かれていない。何が違うのと問われればシナリオ・作業工程・扱える題材・カメラアングル・編集・作品の届け方(スクリーンとブラウン管)・・・などなど数え上げたら切りがない。更に言えば、テレビドラマは放送開始のどこから観ても話が分かるようにしなければならず、放送事故を防止するために静止時間の規則やロングショットの限界点を制約されていいる。この為にドラマ出身の演出家が映画を撮ると明らかにマイナス要素を引きずっていることが多く、それが今のドラマ映画を面白くなくしている最大の原因であると感じている。

この「ヴァイブレーター」という作品を観ると、そういった映画とテレビの違いをありとあらゆる角度から感じる事ができる。映画が絶対主義とは決して思わないが、人間の心の奥に潜む生の感情を剥き出しにするにはテレビドラマのルールでは難しい事は否めなく、そこにチャレンジしようとする気概の持った人達も皆無に近い。廣木隆一監督は生の感情を剥き出しにする事ができる貴重な監督の一人であると思っている。些細な出来事という果実の皮をを実に丹念に向いていく演出を好き嫌いは別として一度体験するべきだと個人的には思っている。

<GOOD POINT>
1.低予算映画のお手本みたいな作り方。撮影の舞台となるのは、最初と最後のコンビニとトラックの中である。あとガソリンスタンドと運送先の工場などが1シーンづつあるが撮影時間や金銭的な事を考えると非常に効率が良い。脚本を担当した荒井晴彦はロマンポルノ時代から男と女を描き続けている鬼才、低予算撮影の可能性を生かしながら薄っぺらい表面だけの恋愛なんか吹っ飛ぶような深いラブストーリーを描いている。

2.長回しの撮影方法がとても生かされている。なぜ長回しという手法を取るかと問われれば答えは一つ「画の流れ(緊張感も含む)を途切れさせないため」である。この映画はセリフも自然な会話調の為にあたかも日常の一コマを切り取った感のあるシーンが続く。これは一見簡単そうに見えるが、撮影・俳優陣はとてもプレッシャーが掛かるのだ。廣木演出の良さはこういった所にも感じられる。

<BAD POINT >
1.最後まで観て心を揺さぶられている自分がいる一方で不完全燃焼の自分もいる。なぜか?主人公の早川玲(寺島しのぶ)が何者なのかという事も気になるのだがそうではなく。急にトラックに乗り込んだのに面白がって同行を許した岡部希寿(大森南朋)に理不尽さを感じた訳でもない。つまりは二人が出会って別れた事によって特に世の中も変わらなければ周囲の誰も影響を受けていないのである。あくまでも二人だけの心の変化・・・これって他の人はどう思うのだろう?

ひとつ言えることはドラマでは絶対に描くことが出来ない物語が映画では可能と言うことだ。
(IE5)

ヴァイブレータ(2003) - goo 映画
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久々に上手い!と思わせた設定とストーリー

ジャック・ニコルソン(エドワード役)とモーガン・フリーマン(カーター役)という超演技派を料理するのが「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナーとくれば期待しない方が難しい。しかしその期待度を大いに満足させてくれる完成度だ。

この映画は後半から世界各地に旅行する二人を描くのだがスクリーンを観ている限りでは、殆ど現地でロケしていると思われる、つまりほぼ(もしかすると完全に)CGが無いのである。だからスカイダイビングのシーンもアフリカで動物を追い掛けているシーンもとても良い雰囲気が出ている。最近ではここまでごまかし無く撮影をしている映画が少ないので感動だったし、名優二人の飽くなき役者魂と名匠の名に恥じないロブの確かな演出に素直に拍手を送りたくなった。


<GOOD POINT>
1.とにかく脚本が練りに練られていて、キャラクターの性格づけ・生活の地位・家族構成などなど全てが真逆の二人がガンで余命を告げられてたという一つの共通点から死までの道のりを歩んでいくという優れたアイデア設定だった。

2.中盤までほぼ病院で闘病生活を送るエドワードとカーターしか出てこないが、やはりそこは名優の見せ所で普通なら飽きてしまいがちな1シーンの長ゼリフも全く苦にならず延々と見入ってしまうのである。もちろんセリフもウィットに富んでいて悲しい物語に終わりがちな内容を全く逆の明るさでみせている。アメリカンジョークも下品なモノ(「俺たちフィギアスケーター」はその最高の位置にある)は確かに多いのだが、これ位の感じだと味が出て万人に受け入れられると思う。

3.残りの人生でやりたい事を記したメモが残り3つになってからの達成の仕方のアイデアが本当に優れている。特に「世界一の美女にキスをする」の達成法は「上手い!」と思わず手を叩いてしまった。二人で達成できずにカーターからエドワードに託されるが、それも達成できずに秘書(ショーン・ヘイズ)に託すという流れは非常に上手かった。

<BAD POINT>
1.世界旅行が若干だが長い気がした、おそらくインドはもっと短くできるんじゃないか?更に言えばラストの香港まで数カ国も回っている姿に全く体調の変化も見られなかったのも少し違和感を感じた。まぁそれも演技の巧さでカバーできているのだが。

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