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乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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画像ファイル "http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/9869aebdd0d7afb9e0b59b286d3beb70/1216996210" は壊れているため、表示できませんでした。  86点

久々に強烈なメッセージを残そうとする日本映画を観た

原作は横山秀夫の同名小説。横山秀夫は「半落ち」も映画化され日本アカデミー最優秀作品賞を獲得している(監督は佐々部清)。思うに社会の闇にメスを入れる横山の原作はドッシリとした社会派の映画に非常に合っているのだと思われる。どちらかというと奇をてらった展開は無くて、ただ実直に大きな山を目指して進んでいく感じがするのである。「金融腐食列島 呪縛」や「突撃せよ!あさま山荘事件」を撮っている原田眞人監督にとってはぴったりの素材だったのではないだろうか?近年は作風を変えようとしているのか、恋愛モノやなんと京極夏彦の「魍魎の匣」などに手を出して不振を極めてたが、その鬱憤を晴らすかのように力のこもった演出をしている。

なかなかこういった映画は観客に届かないのが常なのだが、まぁ映画とはそんなものなのかもしれない。俺が観たときも殆ど客はおらず、年配のオジサンがチラホラといただけ。1985年に起きた「日本航空123便墜落事故」を知らない世代にとってはアンテナに引っかかる術は殆ど無いだろう。でも本当はこういった作品を観てこそ映画の力の凄さって伝わるものと思うので残念だ。スピルバーグやイーストウッドが撮る戦争ものは出足が付くというのは、やはりネームバリューによるだろう。昨日の宮崎駿ではないがアニメでは無く実写の世界でも日本のエースが待たれているのである。

<GOOD POINT>
1.とにかく出て来る登場人物が半端無く多い群像劇なのだが、キッチリと性格描写がなされており激しく感情がぶつかるシーンが多いために145分という大作ながら最後まで緊張の糸が途切れる事は無かった。やはり主人公の悠木和雅を演じた堤真一は相当に良い演技で、今まで見た中でも一番かもしれない。若いときの星野仙一が新聞記者だったらこんな感じだったのだろうか?地方新聞記者としての意地と意地のぶつかり合い、敵は外だけではなく内部(しかもこっちの方が強力)にもいるという構造が本当に良く描き切れていると思った。

2.墜落現場の一連のシーンは力作だった。機体が落ちた現場はニュース映像の空撮で当時見ていた記憶が残っているが、地上から見るとこんな現場だったんだろうなと思わせるほどリアルだった。更にその場所で救助活動する自衛隊、地元の消防団の動きも見事だと思った。そして少しでも早く現場に着き取材を試みようと奮闘する記者連中の悪戦苦闘ぶりは凄まじく、佐山達哉(堺雅人)の泥まみれのワイシャツが当時の困難さを表している。当時は携帯もないので〆切までに地元で電話を借りなくてはならないなどのカセもあり非常に面白くなっていた。こう考えると今の世の中はいかに便利に成りすぎてカセを作るのが難しくなっているかが良く分かる。

3.これはある箇所ではBADなんだが、全体的な意味ではGOODなのでこっちに入れておくが、非常に編集が特殊である。おそらく同じ芝居を2カメぐらいで違うアングルから数回撮影したものを細かく切っていると思うのだが、とにかくカット数が多い。最初は明らかに不必要と思われるくらいアングルが変わっていくのだが、馴れてくるとどうってこと無くなってしまい逆に事件が発生してからは緊迫感を高める効果をたたき出している。先にも書いたが怒声を浴びせ合うシーンが最後までかなり多いのでこの編集方法でも成立していると思われる。どちらにせよ、撮影現場では記録するのが大変だろうと感じた。

<BAD POINT>
1.冒頭から5分くらい、渓流で悠木と安西耿一朗(高島政宏)が話すシーンがあるのだが、せせらぎが大きすぎて全くセリフが聞き取れなかった。更に新聞社内でのやりとりで専門用語が飛び交うのだが良く分からないし、ケンカしているシーンでは勢いでどなっているセリフも何を言っているか分からない所があったし、キーワードの様に出て来る「大久保・連赤 以来」という言葉の説明も不足していて、全体的に3割くらいは意味が分からずに進んでいった。冒頭は明らかに録音状態の問題だと思うが、あとは取り直しが可能だしシナリオを見直して欲しい箇所もあった事は確かだ。

2,現在の悠木が安西の息子と山を登るシーンが多すぎる。このシーンが入る毎にせっかくの緊張感がぶつ切れになってしまった感がありもったいなかった。冒頭と終わりだけで充分(もしくは間に1回だけ入れる)と思うのだが、もしくは現在はいらないのかもしれない。勿論、原作との兼ね合いもあったのだろうが。
(IE5)

クライマーズ・ハイ - goo 映画


もしかしたら今年の映画賞の本命の一本になるかも

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