乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
圧倒的な画と日本のアニメ界を支えてきたジブリの軌跡を辿る展覧会
レイアウトとは企画→脚本→絵コンテの後の段階で、監督ないし美術監督が部下に意図を明確に伝えるべく作成する画の設計図のようなものだ。つまりナウシカであればメーヴェで飛んでいるシーンがあるとして、「この雲の動きはこの方向にコンマ何ミリの単位で動かす」とか指示を書き込んで行く、また背景とセルを明確に分けたりキャラクターの細かい動きも書き入れている。要は、監督の意図が伝わらず書き直すという二度手間を省くというのが一番の効果であるのだが、アニメの制作日数と作業量の事を考えるとレイアウト無しでは間に合わないという問題もあるらしい。
宮崎駿はレイアウトという名前のパートが無い時代から、高畑勲の下で「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」など名作劇場アニメを担当していた。俺は初めて知ったのだが、高畑勲は全く画を描かない人らしい、つまり自分は演出専門であり画は門外漢だったので自分の考えを画に表してくれる人物として宮崎駿に白羽の矢を立てたというのが始まりだったらしい。ちなみにその時の宮﨑の担当名は場面設定とか場面構成とか呼ばれていた。そう考えると宮﨑駿がいなければ高畑勲の人生も少し違ったものになっていたのかもしれない。
展示内容は第一部として「風の谷のナウシカ」から「千と千尋の神隠し」までジブリ劇場公開作品を中心に構成され、第二部は「ハイジ」から「未来少年コナン」「名探偵ホームズ」「ルパン三世」などテレビシリーズに繋がって最後は「崖の上のポニョ」で占められる。途中で高畑・宮﨑のインタビュー映像やアニメーションの製作過程におけるレイアウトの在り方などの説明パネルも展示されて興味深かった。実際、点字数が1000点を超えているのでざっと流してみても軽く二時間は掛かってしまう膨大な展示会だったが、入場が完全予約制で人数制限されているため非常に環境は良かった。
とにかくレイアウトの細かさと芸術的な美しさに感動する事は間違いなく、ジブリの歴史、宮崎駿の歴史を自然に辿ることのできる貴重な展覧会であることは間違いない。しかしここまで描けるようになるまでに、どれほどの枚数を書いてきたのだろう。その努力にただただ敬服するのみである。
(IE5)
スタジオジブリ・レイアウト展 公式ホームページ
PR