乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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67点
天下の東映がこんな宣伝活動でいいのか!
現在、日本映画界で活躍する監督の中で必ず公開した映画に足を運ぶのが阪本順治監督である。デビュー作「どついたるねん」は勿論、どうしようもない男二人の逃避行「傷だらけの天使」や通天閣のビリケンさんが人間界に現れた「ビリケン」、藤山直美が殺人者を怪演した「顔」、韓国との闇にメスを入れた「KT」、庵野秀明が戦闘シーンを手がけた「亡国のイージス」などなど、影を背負った男と女、そして国家が抱えるタブーに斬り込んでいく姿勢と確かな切り口は個人的にはとてもフィーリングがあっていて好きな監督である。なかなか今の監督で阪本順治のような売れ線から真逆になりそうなテーマを好んで企画が通る人物はいない、逆に言えば阪本演出だからこそついていくプロデューサーなり俳優・スタッフがいるのは確かで、そのカリスマ性は平成の世では貴重な存在である。
さてその阪本順治最新作であるこの映画であるが、俺が観たのは劇場公開最終日・・・しかも公開を知ったのは三日前という驚愕の出来事があった。新人監督の自主上映なら分かるが、日本映画を代表する監督作品が、人の数倍も映画アンテナを張っている俺に引っかかってこないとはどういうことだと驚きと共に配給・宣伝の「東映」に怒りを感じた。業界関係者に聴くと「東映」は目玉作品・・・例えば「男たちのYAMATO」ぐらいに大作映画以外は殆ど宣伝しないらしい。というか、宣伝する力が無いのが実情だそうだ。会社自体がかなり資金面でシビアなのは、数年前に銀座の本社の前で賃金アップを訴える数名の社員を目の当たりにした経験があるので想像に難くないのだが、仮にも日本アカデミー監督賞を受賞した映画に対する対応ではないだろうと思った。「カメレオン」の次に公開されている「闇の子供たち」の方は都内では看板やらポスターやらが溢れていて納得なんだが、要は映画は作品として完成しただけではただのフィルムという事を分かって欲しいと思う。映写機とスクリーンの間に観客がいて初めて映画であるとは荒戸源次郎の言葉だが、全くその通りである。
<GOOD POINT>
1.松田優作の作品で一躍名を馳せた丸山昇一が脚本を担当しており、丸山得意の剥き出しで痛々しい感情がノッケからぶつかり合っている。やっぱりオープニングの階段シーンを観るだけで、この映画はそこらのテレビ映画とは違うということを明確にしてくれるし、映画ファンにある種の安心感を与えてくれるのである、分かりやすくいうと「ああ、これは映画だな」ってことなのだが・・・。この映画で一番面白いのは結婚詐欺をしていたのが司会や新郎一家を演じた、老いぼれ旅芸人と若い落ちぶれ詐欺師という設定。式が終わった時点では司会、ヤクザ、新郎を演じた若者だけを追い掛けているのだが、その10分後に老いぼれ旅芸人もグルだったと分からせる二段構えの構成が非常に上手くて考えられていると感じた。こういった見せ方っていうのは最近、なかなか観ることができなくてそのトリックに嵌められた事に思わずニヤって笑ってしまうこと請け合いだ。
2.主人公の伍郎を演じた藤原竜也が妖しく悲しいカメレオン男を見事に演じている。元々、演劇の方では高い評価を受けていたが映画の方には意外に進出していなかっただけに、今後の活躍が楽しみである。二枚目俳優が避ける汚れた部分にも全く関係なく踏み込んでいけるのは中々の強みである、やや一本調子の場面もあったがジャニーズ系よりは全然力があると感じた。
3.国会のシーンはとてもリアリティがあって素晴らしかった。特にセットは本物と見間違うほど(まさか使用許可はでないだろうからセットと思うのだが)。これは一見の価値があるし、ラストはこのリアリティが生きているから成功していると思った。
<BAD POINT>
1.カーチェイスがしょぼくてしょぼくて・・・そこだけ「あぶない刑事」をテレビドラマを観ているかのように薄っぺらくてテンションが一気に冷えてしまった。このシーンってハッキリ言って全部切ってもなんの問題もないと思うのだが、入れないといけない理由でもあったのだろうか?
2.伍郎達が敵と対決するシーンも漫画っぽくて恥ずかしいくらいに安っぽく見える。もしかして狙っているとしたら阪本演出の問題だが、丸山昇一が書いた時期が70年代という刑事映画爆発&アクションモノ全盛時代だった為に、そのまま脚本を映像化しているとしたら分からないでもない・・・どちらにしてもこれをGOしてふんだんに金を使ったプロデューサーを疑ってしまう。
(IE5)
カメレオン - goo 映画
こんな予告編、全く観ることは無かった。どこでやってたんだろう?
天下の東映がこんな宣伝活動でいいのか!
現在、日本映画界で活躍する監督の中で必ず公開した映画に足を運ぶのが阪本順治監督である。デビュー作「どついたるねん」は勿論、どうしようもない男二人の逃避行「傷だらけの天使」や通天閣のビリケンさんが人間界に現れた「ビリケン」、藤山直美が殺人者を怪演した「顔」、韓国との闇にメスを入れた「KT」、庵野秀明が戦闘シーンを手がけた「亡国のイージス」などなど、影を背負った男と女、そして国家が抱えるタブーに斬り込んでいく姿勢と確かな切り口は個人的にはとてもフィーリングがあっていて好きな監督である。なかなか今の監督で阪本順治のような売れ線から真逆になりそうなテーマを好んで企画が通る人物はいない、逆に言えば阪本演出だからこそついていくプロデューサーなり俳優・スタッフがいるのは確かで、そのカリスマ性は平成の世では貴重な存在である。
さてその阪本順治最新作であるこの映画であるが、俺が観たのは劇場公開最終日・・・しかも公開を知ったのは三日前という驚愕の出来事があった。新人監督の自主上映なら分かるが、日本映画を代表する監督作品が、人の数倍も映画アンテナを張っている俺に引っかかってこないとはどういうことだと驚きと共に配給・宣伝の「東映」に怒りを感じた。業界関係者に聴くと「東映」は目玉作品・・・例えば「男たちのYAMATO」ぐらいに大作映画以外は殆ど宣伝しないらしい。というか、宣伝する力が無いのが実情だそうだ。会社自体がかなり資金面でシビアなのは、数年前に銀座の本社の前で賃金アップを訴える数名の社員を目の当たりにした経験があるので想像に難くないのだが、仮にも日本アカデミー監督賞を受賞した映画に対する対応ではないだろうと思った。「カメレオン」の次に公開されている「闇の子供たち」の方は都内では看板やらポスターやらが溢れていて納得なんだが、要は映画は作品として完成しただけではただのフィルムという事を分かって欲しいと思う。映写機とスクリーンの間に観客がいて初めて映画であるとは荒戸源次郎の言葉だが、全くその通りである。
<GOOD POINT>
1.松田優作の作品で一躍名を馳せた丸山昇一が脚本を担当しており、丸山得意の剥き出しで痛々しい感情がノッケからぶつかり合っている。やっぱりオープニングの階段シーンを観るだけで、この映画はそこらのテレビ映画とは違うということを明確にしてくれるし、映画ファンにある種の安心感を与えてくれるのである、分かりやすくいうと「ああ、これは映画だな」ってことなのだが・・・。この映画で一番面白いのは結婚詐欺をしていたのが司会や新郎一家を演じた、老いぼれ旅芸人と若い落ちぶれ詐欺師という設定。式が終わった時点では司会、ヤクザ、新郎を演じた若者だけを追い掛けているのだが、その10分後に老いぼれ旅芸人もグルだったと分からせる二段構えの構成が非常に上手くて考えられていると感じた。こういった見せ方っていうのは最近、なかなか観ることができなくてそのトリックに嵌められた事に思わずニヤって笑ってしまうこと請け合いだ。
2.主人公の伍郎を演じた藤原竜也が妖しく悲しいカメレオン男を見事に演じている。元々、演劇の方では高い評価を受けていたが映画の方には意外に進出していなかっただけに、今後の活躍が楽しみである。二枚目俳優が避ける汚れた部分にも全く関係なく踏み込んでいけるのは中々の強みである、やや一本調子の場面もあったがジャニーズ系よりは全然力があると感じた。
3.国会のシーンはとてもリアリティがあって素晴らしかった。特にセットは本物と見間違うほど(まさか使用許可はでないだろうからセットと思うのだが)。これは一見の価値があるし、ラストはこのリアリティが生きているから成功していると思った。
<BAD POINT>
1.カーチェイスがしょぼくてしょぼくて・・・そこだけ「あぶない刑事」をテレビドラマを観ているかのように薄っぺらくてテンションが一気に冷えてしまった。このシーンってハッキリ言って全部切ってもなんの問題もないと思うのだが、入れないといけない理由でもあったのだろうか?
2.伍郎達が敵と対決するシーンも漫画っぽくて恥ずかしいくらいに安っぽく見える。もしかして狙っているとしたら阪本演出の問題だが、丸山昇一が書いた時期が70年代という刑事映画爆発&アクションモノ全盛時代だった為に、そのまま脚本を映像化しているとしたら分からないでもない・・・どちらにしてもこれをGOしてふんだんに金を使ったプロデューサーを疑ってしまう。
(IE5)
カメレオン - goo 映画
こんな予告編、全く観ることは無かった。どこでやってたんだろう?
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