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乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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やはり人間は未知の世界にひかれてゆく生き物だ


納棺師・・・この映画を知って初めて聞いた職業だった。おそらく俺と同じ人は多いと思う。それぐらいにマイナーな職業を取り入れた物語である。よく映画でハウツー物と呼ばれる作品がある、引き合いに出されるのは伊丹十三作品(「マルサの女」「たんぽぽ」etc...)や周防正行作品(「シコふんじゃった」「Shall we ダンス?」etc...)などが代表的だ。 映画の序盤に見慣れない職業や物事を見せて、主人公をその舞台へ引きずり込んだりする。当然、最初は何も出来ない主人公が徐々にその世界で成長していくという構成。その成長過程でその珍しい世界を丁寧に教えていくという事もハウツー映画の大事な要素。これらの映画はかなりの取材と知識の上でないと面白くならない。少しでも嘘っぽいと緊張感が途切れてしまうのだ。

とはいえ、肝心のドラマが面白くなくてはなんにもならない。「調べるのに苦労したのは分かりますが・・・」と言いたくなる程に説明(ハウツー)部分が多すぎてバランスを悪くしている作品も少なくなく、どちらかというと「またこのパターンか」と思う事の方が多い記憶がある。つまりは面白く成立させるには難しいジャンルではあるのである。その中で今回の「おくりびと」は非常にそのバランスも良く、納棺師の世界に足を踏み入れた大悟(本木雅弘)や妻(広末涼子)、葬儀屋の社長・佐々木(山崎努)ら主要人物の芝居もとても良くて久々に日本映画らしい日本映画の傑作が生まれた。滝田洋二郎の代表作になる事は間違いなく、今年の日本映画賞にかなり食い込むのではなかろうかと思われる。


<GOOD POINT>
1.東京でチェロ奏者をやっているという大悟の設定は個人的には嫌な部類の職業設定なのだが、これを実に嫌み無く本木が演じている。勿論、本人の演技力もあっての事だが、やはり滝田監督の演出力が光っている。大悟のキャラは下手すると一本調子になりかねない感情の起伏があまりない役柄なのだが、これが映画の中で微妙な心の変化として表れていくのを感じることが出来た。この微妙な・・・という所ができる時点でやはりスクリーンから伝わってくる事は違ってくる。妻役の広末も良いんだな〜、やっぱり離婚後の彼女は良いわマジで。大人の演技がハマルって感じがする。

2.とにかく脚本は素晴らしい。しかも原作ものでは無くて完全なオリジナルの書き下ろしという所が絶賛に値する。しかも公開と同時に脚本を元に漫画化されたコミックが発売され好評ということだ。画が人気のさそうあきらという事もあるだろうが、良いシナリオだったら逆パターンで漫画化なり小説化が可能なのである。納棺師という珍しい職業というモチーフはあるのだが、話の中心は夫婦が離婚するかしないかというごくありふれた物語なのである。そして大悟も妻も物語の初めと終わりでは全く違った成長した姿があった。更に所々にクスリと笑えるユーモアが散りばめられているのが、この作品のレベルを更に高めていると言えるだろう。見終わったあとにケンタッキーが食べたくなること請け合いだ。小山薫堂は構成作家としても凄いが、初映画作品とは思えない凄い才能の持ち主であると改めて感じた。

3.音楽が耳馴染みがいいな〜と感じて「まさか・・・」と想いながらエンドロールを観ているとやはり久石譲だった。う〜ん、またしても久石譲か・・・と少し悔しくなったが琴線に触れるんだから仕方がないな。まるで子供の時に与えられたマクドナルドが大人になっても脳神経にやどっているかの様だ。でも良いんだから仕方がない。


<BAD POINT>
1.ラスト近くで大悟の親父を納棺するシーンで、役場の人間に怒る大悟を制止ながら「主人は納棺師なんです」という妻のセリフなんだが・・・ちょっとここだけが頂けない。まぁ観客に「私は夫の職業を認めました」と分かりやすく言いたかったんだろうけど、ここはセリフ無しで魅せるべきではなかったか?まぁ、ここまでで観客の大半は満足していただろうから問題ないのかもしれないが、個人的には少し残念。
(IE5)


おくりびと - goo 映画


モントリオール映画祭でグランプリを獲得、おめでとうございます!


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