乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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印象派の天才はヌーヴェルバーグの父を生んだ
俺は絵画や美術・陶芸品などには全く興味を持たない人間だったが、なぜか30代に入ってから俄然興味が湧いてきて、暇と金が許す限り美術館や写真展に足を運ぶようになった・・・人間、分からんものである。というわけで新しいカテゴリー「アート」を作ってみたが、あまり映画のように専門的な事も言えないので感じたままに書いてみます。
とはいえ、この企画は映画の要素も入った珍しい展覧会だった。画家のピエール=オーギュスト・ルノワールと映画監督のジャン・ルノワールが実の親子だということはあまり知られていないらしい。まぁ映画監督の名前なんて映画ファンくらいしか記憶していないだろうから仕方がないが、ジャン・ルノワールは60年代に映画界に吹き荒れたヌーヴェルバーグ(新しい形の映画を模索する運動。ヌーベルバーグとは新たな波という意味のフランス語)の映画監督達から父と崇められたフランス映画界の大巨匠である。
会場は父の絵画と、その画に影響を受けた息子の映像(作品の1シーン)が交互に織り交ぜられながら構成されていた。例えば、<陽光のなかの裸婦>という画から影響を受けたのが「草の上の昼食」の中で水浴びをする女性であるとか、<ぶらんこ>から「ピクニック」の女性がぶらんこで立ち漕ぎをする名シーンが生まれたとかである。ジャン・ルノワール曰く「私の人生はどれだけ父から受けた影響を残すことができるかだ」と語っていたらしいが、それほどに父が描いた画の影響は大きかったのだろう。でも親父が凄すぎると息子はダメになるパターンが多いが、親子共々これだけの名声を得ると言うことは珍しいのではないだろうか。
ルノワールの画は風景画に退屈なものもあったのだが、人物画はとても良いものが多かった。特に<小川のそばのニンフ>の溢れる透明感に心を奪われ、<座る女>の済んだ眼差しにドキリとさせられた。両方、ルノワールが惚れていた女性らしい。創作魂が燃えているのが良く分かる。
この展覧会のCMで使われた坂本龍一のテーマソング「dancing in the sky」(ピアノソロ)もとても良い曲、機会があればご試聴くだされ。
(IE5)
ルノワール+ルノワール展 公式ページ
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