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乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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画像ファイル "http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/9869aebdd0d7afb9e0b59b286d3beb70/1221141718" は壊れているため、表示できませんでした。 90点

これを撮った勇気に大きな拍手を送りたい

日本映画界の現役監督でその動向が気になるのが阪本順治監督、阪本監督の最大の武器は何といっても演出力である。とにかくどれだけ人数がいても役者ひとりひとり丁寧に指導していく、そして意見がぶつかればお互いが納得するまで話し合うのだ。話し合うのは役者だけでなく各パートのスタッフも同様であり、その結果として固い信頼関係が構築されていく。監督であっても意外にこの演出という行為を軽んじてしまう人は多いらしい。特に最近はアングルやら合成やらにやたらと意識が飛んでいってしまう監督が日本には多いようだ。日本映画の父、マキノ省三が1スジ(脚本)、2ヌケ(映像)、3ドウサ(芝居)と謳っているが、やはり役者の力を引き出す事も監督の腕の見せ所と思われる。

そういった意味では阪本監督は希有な存在だ、そして決して中途半端な姿勢では映画を撮らないのも尊敬できる。あまり面白くない映画も数本撮っているのだが、大胆な企画に全力勝負した結果敗れたように見えるので許せるのである。そんな阪本順治が挑んだのが「タイの子供達に実際に起きている幼児売買春、人身売買」だった。原作は「血と骨」の作家・梁石日(ヤン・ソクイル)の作品という事だけでも普通の物語ではなさそうなのだが、この題材を映画にしようとした勇気は並大抵ではなかったに違いない。

俺もサラリーマン時代にタイに社員旅行に行った事があるのだが、夜の街に繰り出したときに仲間の何人かが風俗街へ消えていった。俺は気分が乗らなかったのかたまたま行かなかったのだが、本当に「たまたま」なのであった・・・つまり言いたいのは、そんな日本人が軽い気持ちで行った風俗街の裏側にある法を犯した幼児専門の店。もしかしたら道を間違えて自分も染まっているかもしれないという紙一重の現実があるという事をこの映画はえぐり取ろうとしているのだ。こんな深い映画を作った阪本順治の努力と勇気にただ頭が下がる思いで一杯だ。この映画はおそらく日本映画史に残るだろう。

<GOOD POINT>
1.殆どがタイのロケで行われているが、主要人物にタイ人も多数出演していて良い芝居をしている。特にメインとなる子役の少年、少女が実に痛々しくも一生懸命に生きていく様は観ていて色々と考えさせられた。大人の良いなりになるしかないベッドシーンはリアル過ぎる気もするのだが、ここを逃げずに撮りきった事が作品のメッセージ性を強くした結果となった。ハンディカム片手にハメ撮りをしようとする日本人を描くシーンなどは実際に子供達には分からないように撮っているハズなので、とてもカット割りに苦労したかと思われる。しかし「闇の子供たち」とは悲しくも見事なタイトルだ。

2.タイ駐在の新聞記者・南部浩行を演じた江口洋介が凄く良かった。先程も述べたが本当に役者って料理次第で変わるんだなと思わせる。今までのステレオタイプっぽい江口洋介は微塵も感じさせず、本当にタイで何年も生活している記者になっていた。かつて「スワロウテイル」で妖しい韓国人?リョウ・リャンキを演じた時も「おっ!ええやん」と思ったが、それ以来の名演技だった。南部が見せる記者としての誠実さが強いので、衝撃のラストが生まれたのだと感じた。

3.エンディングテーマは桑田佳祐の「現代東京忌憚」が良い。桑田が自ら阪本に頼み込んで作ったというから熱の入れようもハンパではなく。この映画を浄化する良いエンディングテーマに仕上がっていると感じた。この桑田が作ったの「詩」の意味を噛みしめながら頭の中で様々な思いがよぎっていた。

<BAD POINT>
1.売春宿からゴミ袋で捨てられた少女が村に這いずりながら帰っていくシーンがあるのだが、これは流石に無理があると思った。あまりにも残酷でも、リアリティを感じられなくなると途端に覚めてしまう良い例だと思った。

2.同じようなシーンなのだが、ボランティNGO職員の音羽恵子(宮﨑あおい)がゴミ袋に入れられた子供を救出しようと勇ましく飛び出すシーン、これも簡単に相手を倒せ過ぎだしトラックもなぜかスピードが上がらず(しかもわざわざUターンまでして)救出しやすくしている。ここはどう考えても乗ってきた車で人目がつかないところまで 尾行するのが筋とは思うのだが。
(IE5)

闇の子供たち - goo 映画

この映画は一人でも多くの日本人が観るべきだと思う

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