乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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ヒストリエ(5) (岩明均/アフタヌーンKC)
続編が出ると無条件に買うコミックスは現在6作品あるが、その内の3巻が一気に発売された。レビュー第一弾は、「寄生獣」で名を成した岩明氏が描く紀元前4世紀頃のギリシアなどを舞台にした歴史物「ヒストリエ」の最新刊。この世界観が好きで好きでたまらない作者が、魂を込めて描いているのが伝わってくる。「寄生獣」程の娯楽性やドラマ性はないが、個々のエピソードが面白く、また、泣ける。一度読めば十分という作品が多い中、何度も読み返す内に面白さが増してくるという珍しい作品だ。逆に言えば、少年誌的な漫画を期待すると、地味な印象があるだろう。しかし、今回愕然としたのは、5年かけて刊行されたエピソードが、実はプロローグに過ぎないという点だ。1巻の冒頭の時間軸と5巻の冒頭の時間軸がつながっている……本当に完結するのか、その辺が非常に心配でもある。リアルな殺人シーンもあるので、その辺の耐性がない方には寄生獣同様に向かない。次は2011年か……? 70点
PLUTO(7) (浦沢直樹/ビックコミックス)
現在「20世紀少年」の映画の第2弾が公開されている浦沢氏の「アトムのリメイク」第7弾。物語は終盤に差し掛かり、光子エネルギーを操るエプシロンというロボットとタイトルの悪役プルートゥとの対決が描かれている。常々思うが、浦沢氏の絵はSFとは程遠い。生態的なロボットがほとんどで、メカの描写は余り楽しめない。逆に、「MONSTER」から確立された謎で謎を引っ張る「浦沢スリラー」的な要素は堪能できる。しかし、サスペンスも泣かせ所も「MONSTER」や「20世紀少年」と同じなのだ。素材の目新しさは興味を惹かれるが、正直このパターンに飽きてきた。レベルは非常に高いが、高度に制御されすぎた絵や物語が、物語への没入の最後の「何か」を阻んでいる気がする。しかし、次の最終巻も必ず買う。それぐらいは毎回必ず楽しめる。 60点
無限の住人(24) (沙村広明/アフタヌーン)
浦沢氏とは逆に、「無限の住人」は狂気と暴走が魅力の作品だ。首が飛び、腕がちぎれる血みどろ剣戟アクションが毎度毎度炸裂する。非常にオタクっぽいコメディの匂いと高度な作画、猟奇的な人体損傷に対する異常な興味、純粋に熱い戦闘シーンがミックスされ、他に類を見ない濃い作風になっている。物語やキャラクターの構築力も高いと思う。が、それらの要素が織り成す世界観は、読者を引き込みつつも不安にさせる要素が満載で、今回も物語史上もっとも凶暴な悪役の活躍が描かれているが、何とも不気味な印象だ。とはいえ、物語のクライマックスに向けてテンションは上がる。「寄生獣」が乾いた残酷描写なら、こちらはトコトン湿った残酷描写が特徴で、「清純な」読者を振り落としているが、それはそれでいい。次も待ち遠しい。 70点
ヘルボーイ (ギレルモ・デル・トモ監督)
前回紹介したヘルボーイ/ゴールデンアーミーの最初の一作で、これも三部作になるらしい。この1作目を観ると、4年間で監督はかなり力量を上げたことが分かる。出てくるキャラクターはほぼ同じだが、魅力がかなり薄め。パイロキネシス(念動発火)の彼女とのラブストーリーと、魔界の扉を開けるラスプーチンとのアクションが大きな柱だが、どちらも散漫な印象で余り楽しめない。アクションも続編の方がかなり冴えている。さらに残念なのはクリーチャーデザインにギレルモ節が余り見られないところ。無理に1作目を観なくても、2作目だけでも十分だ。それにしても念動発火の彼女が強すぎ。ラムちゃんの電撃どころではないぞ。 50点
蛇足:ちなみに新刊を必ず買う5作中の残りの二作は「ベルセルク」と「はじめの一歩」、「バガボンド」。6作中、5作品に「首チョンパ」系の描写が必ずある(笑)。強度で言えば、無限=ベルセルク>ヒストリエ>=バガボンド>PLUTOというところだ。成人してからは残酷さに興味があるのか、単にサディズムに陥っているのか分からないが、結果的には多分どちらかだ。
(KIURA)
続編が出ると無条件に買うコミックスは現在6作品あるが、その内の3巻が一気に発売された。レビュー第一弾は、「寄生獣」で名を成した岩明氏が描く紀元前4世紀頃のギリシアなどを舞台にした歴史物「ヒストリエ」の最新刊。この世界観が好きで好きでたまらない作者が、魂を込めて描いているのが伝わってくる。「寄生獣」程の娯楽性やドラマ性はないが、個々のエピソードが面白く、また、泣ける。一度読めば十分という作品が多い中、何度も読み返す内に面白さが増してくるという珍しい作品だ。逆に言えば、少年誌的な漫画を期待すると、地味な印象があるだろう。しかし、今回愕然としたのは、5年かけて刊行されたエピソードが、実はプロローグに過ぎないという点だ。1巻の冒頭の時間軸と5巻の冒頭の時間軸がつながっている……本当に完結するのか、その辺が非常に心配でもある。リアルな殺人シーンもあるので、その辺の耐性がない方には寄生獣同様に向かない。次は2011年か……? 70点
PLUTO(7) (浦沢直樹/ビックコミックス)
現在「20世紀少年」の映画の第2弾が公開されている浦沢氏の「アトムのリメイク」第7弾。物語は終盤に差し掛かり、光子エネルギーを操るエプシロンというロボットとタイトルの悪役プルートゥとの対決が描かれている。常々思うが、浦沢氏の絵はSFとは程遠い。生態的なロボットがほとんどで、メカの描写は余り楽しめない。逆に、「MONSTER」から確立された謎で謎を引っ張る「浦沢スリラー」的な要素は堪能できる。しかし、サスペンスも泣かせ所も「MONSTER」や「20世紀少年」と同じなのだ。素材の目新しさは興味を惹かれるが、正直このパターンに飽きてきた。レベルは非常に高いが、高度に制御されすぎた絵や物語が、物語への没入の最後の「何か」を阻んでいる気がする。しかし、次の最終巻も必ず買う。それぐらいは毎回必ず楽しめる。 60点
無限の住人(24) (沙村広明/アフタヌーン)
浦沢氏とは逆に、「無限の住人」は狂気と暴走が魅力の作品だ。首が飛び、腕がちぎれる血みどろ剣戟アクションが毎度毎度炸裂する。非常にオタクっぽいコメディの匂いと高度な作画、猟奇的な人体損傷に対する異常な興味、純粋に熱い戦闘シーンがミックスされ、他に類を見ない濃い作風になっている。物語やキャラクターの構築力も高いと思う。が、それらの要素が織り成す世界観は、読者を引き込みつつも不安にさせる要素が満載で、今回も物語史上もっとも凶暴な悪役の活躍が描かれているが、何とも不気味な印象だ。とはいえ、物語のクライマックスに向けてテンションは上がる。「寄生獣」が乾いた残酷描写なら、こちらはトコトン湿った残酷描写が特徴で、「清純な」読者を振り落としているが、それはそれでいい。次も待ち遠しい。 70点
ヘルボーイ (ギレルモ・デル・トモ監督)
前回紹介したヘルボーイ/ゴールデンアーミーの最初の一作で、これも三部作になるらしい。この1作目を観ると、4年間で監督はかなり力量を上げたことが分かる。出てくるキャラクターはほぼ同じだが、魅力がかなり薄め。パイロキネシス(念動発火)の彼女とのラブストーリーと、魔界の扉を開けるラスプーチンとのアクションが大きな柱だが、どちらも散漫な印象で余り楽しめない。アクションも続編の方がかなり冴えている。さらに残念なのはクリーチャーデザインにギレルモ節が余り見られないところ。無理に1作目を観なくても、2作目だけでも十分だ。それにしても念動発火の彼女が強すぎ。ラムちゃんの電撃どころではないぞ。 50点
蛇足:ちなみに新刊を必ず買う5作中の残りの二作は「ベルセルク」と「はじめの一歩」、「バガボンド」。6作中、5作品に「首チョンパ」系の描写が必ずある(笑)。強度で言えば、無限=ベルセルク>ヒストリエ>=バガボンド>PLUTOというところだ。成人してからは残酷さに興味があるのか、単にサディズムに陥っているのか分からないが、結果的には多分どちらかだ。
(KIURA)
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