乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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天はこの男に将棋の才のみを与えた・・・
真剣師とは将棋(囲碁も)で金を掛けて生活する職業である。昭和50年ぐらいまでは生業として成立していたらしいが、世の中の移り変わりと共に現在は表向きには消滅していると言われている。2007年、最後の真剣師として92歳で他界した太田学はドラマ「ふたりっ子」の銀じいのモデルとなった人なので覚えている人も多いだろう。その太田が現役時代に命を削った相手の一人がこの小池重明である。
小池重明、こいけじゅうめいと読むが本名はしげあき。「新宿の殺し屋」と呼ばれた彼の腕前を人は「序盤はボロボロ、終盤逆転。後半の粘りは驚異的だった」と評した。この本は、その小池重明と後半生を共にしたあの官能小説家・団鬼六が書いた回顧録的エッセイ。団は全盛の小池を直接知らなかったが、本人や周辺から聞き出した事をもとに書かれた文章はまるで本人が書いた自伝そのものである。しかし、アマチュアの小池がプロ棋士をバッタバッタと切ってゆくのは読んでいて痛快である、ちなみにアマがプロに勝つなんていうのは当時は勿論、現代でもほぼありえない。ちなみに羽生善治も幼いときに小池の将棋を直接見て感銘を受けている。
天才的な能力を持ちながら、それを自身の幸せに全く利用することが出来ない男がここにいる。それは悲しくも滑稽で、実際に側にいたら助けてあげたくなってしまうであろう魅力的な男である。一度は映画化を計画されシナリオまで完成していたがお蔵入りとなっている。一度、機会があれば読んでいただきたい。
<GOOD POINT>
1.真剣師の生活、勝負方法などが分かって面白い。各自の勝負スタイルがあり、登場人物も個性派揃いだ。
2.小池重明の駄目っぷりな生き方はとても滑稽である、本当にこんな人がそばにいたら助けてあげたくなるだろう。「神は二物を与えず」という言葉がピッタリである。
これぐらい強かったのだろうか(笑)
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