乙事組(IE5/Kiura/Pine/MBU/Shinの5人)の共同メディア批評ブログ。ネタバレあり注意!
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シンプルで美しい
踊ることに強い情熱を持つ令嬢ヴィキイ(モイラ・シアラー)は、バレエに全てを捧げるバレエ団のオーナーボリス・レルモントフ(アントン・ウォルブルック)に見出され、バレエ「赤い靴」でトップダンサーへの道を歩む。しかし、同時に「赤い靴」の作曲家のクラスター(マリウス・ゴーリング)と恋に落ち、ヴィキイを「赤い靴」の物語と同じ悲劇が襲う。
現在の所、このブログの批評家IE5が最も高い点数93点を付けている映画なので(批評はこちら)、古い作品だが、是非見てみようと思い観てみた。IE5は「ミュージカル映画」と書いてあったので、いきなり主役が歌い出す「サウンド・オブ・ミュージック」を想像していたので、それとは全然違った。いつ、歌いだすのかと身構えていたのだが、映画として必然性のある場面に長いバレエシーンが置かれている、という感じだ。
筋立ては極めてシンプルで、登場人物も上記の3人を中心に展開する。今流行のヒステリックな「衝撃的展開」はない。また、ヴィキイがのし上がっていく、スポ根映画でもない。バレエ「赤い靴」を中心に、バレエに打ち込むレルモントフとヴィキイの葛藤がドラマの山場である。物語はじっくりと描かれるが、かといって展開が遅いわけでもない。あらゆる意味で王道の映画だが、それだけに古さがないのか。
見所はやはり幻想的なバレエシーン。バレエシーンは舞台から始まるが、当時、最高の技術を駆使したと思われる合成で様々なイメージが挿入される。まあ、CGでやってしまえば、もっとクリアーでもっとダイナミックなのかもしれないが、味も素っ気もなくなっただろう。合成技術を使いつつ、それが不十分な為に役者の演技、構図や演出のアイデアを極限まで高めた、そんな意気込みを感じた。バレエに興味のない俺も、この長いシーンはだれることなく、また、台詞がないのにちゃんとストーリーが分かったのも演出の手腕だろう。
残念なのは、テクニカラーの画像は今観るとぼやけていて、これが鮮やかな色ならどんなにか素晴らしいかと思った。その点が非常に惜しい。映画館で観るとまた全然違うのかもしれない。音楽もクラシックだが、CDが欲しいくらいのいい曲だ。ただ、これは観る人(年代)を選ぶ映画だと思う。血気盛んな若者には「何が面白いのかさっぱり分からない」状態になる可能性もある(逆に女の子だったらもっと若くても憧れるかも)。言葉の隅々に気が配られているが、それを受信する側の成熟も必要だろう。俺もあと10年前に観たら、こんな気持ちになったかどうかは分からない。
途中のバレエシーンも素晴らしいが、主役のいないラストのスポットライトが物悲しくて印象に残った。また、最後は俺も即死だと思うが、あそこは靴を脱がさないとしまらないので仕方ないか。ゆったりとした気持ちで、腰を据えて観たい映画である。
(KIURA)
評価点:80点
端役も結構いい味を出している。主役のモイラは当時の役者にしては今風の可愛さを持っていると思う。これはアメリカじゃなくて、イギリスの映画なのに驚いた。
踊ることに強い情熱を持つ令嬢ヴィキイ(モイラ・シアラー)は、バレエに全てを捧げるバレエ団のオーナーボリス・レルモントフ(アントン・ウォルブルック)に見出され、バレエ「赤い靴」でトップダンサーへの道を歩む。しかし、同時に「赤い靴」の作曲家のクラスター(マリウス・ゴーリング)と恋に落ち、ヴィキイを「赤い靴」の物語と同じ悲劇が襲う。
現在の所、このブログの批評家IE5が最も高い点数93点を付けている映画なので(批評はこちら)、古い作品だが、是非見てみようと思い観てみた。IE5は「ミュージカル映画」と書いてあったので、いきなり主役が歌い出す「サウンド・オブ・ミュージック」を想像していたので、それとは全然違った。いつ、歌いだすのかと身構えていたのだが、映画として必然性のある場面に長いバレエシーンが置かれている、という感じだ。
筋立ては極めてシンプルで、登場人物も上記の3人を中心に展開する。今流行のヒステリックな「衝撃的展開」はない。また、ヴィキイがのし上がっていく、スポ根映画でもない。バレエ「赤い靴」を中心に、バレエに打ち込むレルモントフとヴィキイの葛藤がドラマの山場である。物語はじっくりと描かれるが、かといって展開が遅いわけでもない。あらゆる意味で王道の映画だが、それだけに古さがないのか。
見所はやはり幻想的なバレエシーン。バレエシーンは舞台から始まるが、当時、最高の技術を駆使したと思われる合成で様々なイメージが挿入される。まあ、CGでやってしまえば、もっとクリアーでもっとダイナミックなのかもしれないが、味も素っ気もなくなっただろう。合成技術を使いつつ、それが不十分な為に役者の演技、構図や演出のアイデアを極限まで高めた、そんな意気込みを感じた。バレエに興味のない俺も、この長いシーンはだれることなく、また、台詞がないのにちゃんとストーリーが分かったのも演出の手腕だろう。
残念なのは、テクニカラーの画像は今観るとぼやけていて、これが鮮やかな色ならどんなにか素晴らしいかと思った。その点が非常に惜しい。映画館で観るとまた全然違うのかもしれない。音楽もクラシックだが、CDが欲しいくらいのいい曲だ。ただ、これは観る人(年代)を選ぶ映画だと思う。血気盛んな若者には「何が面白いのかさっぱり分からない」状態になる可能性もある(逆に女の子だったらもっと若くても憧れるかも)。言葉の隅々に気が配られているが、それを受信する側の成熟も必要だろう。俺もあと10年前に観たら、こんな気持ちになったかどうかは分からない。
途中のバレエシーンも素晴らしいが、主役のいないラストのスポットライトが物悲しくて印象に残った。また、最後は俺も即死だと思うが、あそこは靴を脱がさないとしまらないので仕方ないか。ゆったりとした気持ちで、腰を据えて観たい映画である。
(KIURA)
評価点:80点
端役も結構いい味を出している。主役のモイラは当時の役者にしては今風の可愛さを持っていると思う。これはアメリカじゃなくて、イギリスの映画なのに驚いた。
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