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宮本武蔵の最後、それを目撃できるのは来場者だけ
「スラムダンク」「バガボンド」「リアル」など大ヒット連発の言わずと知れた人気マンガ家・井上雄彦のマンガ展。雑誌・BRUTUSの7月1日号にて「緊急特集・井上雄彦」の企画が組まれており、その中に少しだけ今回の展覧会の内容が記されているので良ければ見て欲しい。10時開場で30分前に到着したにもかかわらず凄い行列がとぐろを巻いている、人数制限しながら少しづつ入れていく方式だからかもしれないが俺が入場出来たのは1時間後、いやはや井上人気恐るべしである。
今回の内容を簡単に説明すると、漫画で取り上げられているのは「バガボンド」のみである。物語はこの展覧会用に書き下ろしされたもので、宮本武蔵の最晩年の世界が描かれている。つまり武しゃんは老人姿である。岩で瞑想にふける武蔵のもとに弟子入り志望の少年が現れた所から物語はスタートして死が近づき走馬燈のように人生を振り返りながらこの世を去っていくと簡単に書けばこうなるのだが、説明するのと実際に見るのとではスケールも印象もケタ違いである。
ハッキリいって感動した。何にと問われれば、墨画の迫力や緻密さは勿論の事、その巧みな物語の運び方に唸った。殆ど序章以外はセリフというセリフはなく、ひたすら画で見せる。しかし「高倉健は背中で語る」ではないが、何も話さない人間が何かを語っている様に思えるのである。そして武蔵の人生観というものがどれだけのものだったかを井上雄彦なりに答えを示していると感じた。もし「バガボンド」に一度は惹かれた事のある人ならば必ず琴線に触れるものがあるに違いないと確信する。
美術館の造りを利用した絶妙な配置も良い演出効果をだしている。さらに所々に画を立体的に見せる仕掛けがあって面白い。そしてラストの横一面に拡がったキャンパスに近づくときに誰もが「!」と感じる事ができるだろう。非常に堪能できた良い展覧会だったのでチャンスがある方は是非覗いてほしい、「バガボンド」の本当のラストがここにある。
(IE5)
非常に見にくいサイトですが公式なので載せておきます
井上雄彦最後のマンガ展 公式ホームページ
水準以上だが違和感もある
~'08ホラーサスペンス特集(4)
少女の首にハサミを突き立てるという「ハサミ男」による残虐な連続殺人が怒った。物語の主人公はこの「ハサミ男」が、自分の犯罪を真似た第3の殺人に偶然出くわすことから始まる。「ハサミ男」は、はからずも真犯人の捜査に乗り出すが……。大まかなストーリーは上記の通りだが、終盤にドンデン返しが仕込んである。面白いし引き込まれるが、これは賛否両論あると思う。
犯人が探偵役という功罪
この作品はのっけっから連続殺人犯が主役であることが知らされる。それもどうやら少々精神を病んでいる感じである。殺人犯が自分の殺人を真似た殺人に出くわすというのは面白いアイデアだと思うが、弊害として感情移入しにくいのである。話の引き込み方がうまいので、読みたくないほどではないが、確実に没入度が落ちるのは仕方ない。
残酷度はさほどない
タイトルがショッキングだが、思ったほど残酷でもなく、ジャンルとしては正統派のミステリに当たると思う。ただ、少々トリッキーな要素が多く、ドンデン返しはミステリファンにはお馴染みのあの手法だ。注意して読んでいると、後でなるほどと思うことも多く、そういう意味では非常に良く出来ているし、警察の面々など魅力的なキャラクターも多い。ただ、それらが好きかどうかと聞かれると微妙だと答えざるを得ない。
引用は程ほどに
作中に他のミステリの引用が多く登場するのだが、こういうのは引用だと分からないように引用するのが上品な手法だと思う。作中、あからさまに「え、こういうの知らないんですか」と登場人物がほかの人に話すが、それを知らない読者は間接的に馬鹿にされているのである。この辺が娯楽作品としてはマイナスだ。そもそも推理小説に他の推理小説の小ネタが登場するのは、いわゆる内輪ネタと呼ばれるものではないのか。
推理小説に対する不満
伝統的あるいは正統派と呼ばれる推理物には実は未だに馴染めない。物語を楽しむというより、作者が考えたトリックを「解かされる」感じが嫌いなのである。読書量が少ないので多分に偏見も混ざるが、概して人間ドラマが薄っぺらく、殺人の痛みや重みが軽視され、漫画的な探偵役が活躍する、というイメージがある。また、ミステリー好き以外を小馬鹿にするような印象もある。本作は、十分に楽しめるだけの内容があるが、上記に書いた特徴も備えていると思う。という訳で、作者のトリックに挑戦したいという方にはお薦め、逆にサスペンスとして楽しみたい方には微妙なところ、といった感じだ。
評価点:60点 クセのある推理もの
主人公が手を変え品を変え自殺しまくるのだが、これって本当に必要な設定なのだろうか。本当は死にたくないから無意識に手加減しているという設定だろうが、妙に気持ち悪いし毎回助かるのは「絶対当たらないマシンガン」みたいで違和感あり。
(KIURA)
なぜこんな映画を作ったのかが分からない
宣伝文句は「この映画はリメイクではありません、カバーです」ということで、清水宏監督の「按摩と女」(1938年)をセリフは勿論、画面構成、人物の動き、全てを同じにして撮影した映画である。俺は「按摩と女」を観ていないのだが、ハッキリ言わせてもらおう「全部同じ・・・だから何なの?なんでこんな映画の為に多くの金と労力を費やさないといけないんだろうか?」・・・と。大体カバーってなんやねん!こんな創作意欲のない作品は近年見たことが無い、名作だから出来るだけいじらずに現代の俳優で再現したかった、だからカバーってことだろうが・・・新たな用語を作ってごまかさないでくれと言いたい。音楽でいえばカバーとは、その曲とミュージシャンに対して敬意を払いながらも、己のフィルターを通して歌うことにまた違ったカラーが出て時には名曲がうまれるのである。しかしこの映画に関しては、全くその要素は無いと思われる、ハッキリ言うがこれはカバーではなく単なるコピーである。
製作はフジテレビであるが、ご多分に漏れず自らの放映網をふんだんに利用して宣伝していたが、ハッキリ言ってこんな駄作をいかにも「面白いです、最高です」と放送する側に良心の呵責はないのだろうか?もうテレビ映画は相当ヤバイ所に来ている、ハッキリ言って映画ファンはフジテレビの文字を見るだけで避けてしまう人がかなり増えている。まぁ映画を愛する気持ちが足りないスタッフが作った結果なので当然と言えば当然なのだが。ちなみにこの映画の入場料は全国一律1000円である、表向きは「心の入浴料」というキャッチコピーで実験的な興業と謳っているのだが、少し裏読みをすればこれは完成の時点で製作サイドが既に白旗を揚げた苦肉の策だということは間違いないだろう。俺は金券ショップでさらに割り引いた800円のチケットで鑑賞したが、それでも「金返せ!」と言いたくなった。
<GOOD POINT>
1.女学生の5人が青年学生とすれ違うシーンのやりとり。現代の若い女の子でも「清楚で可憐な女学生」というものが成立するんだなと感じた。久しぶりに野村佑香がまだあどけなさがあって好感が持てた。
2.街のセットはミニチュアの合成だったが、これは実に上手く嵌っていた。CGだとテカってペラペラになってしまうのだが、こういう所は金がかかってもこういう手法でやって欲しい。
<BAD POINT>
1.脚本がもう古すぎる。この物語を現代でそのまま遣ることが退屈さを免れない事を石井監督は分からなかったのだろうか?94分の短い作品ながら、軽く120分以上の長さを感じた。それに同じシチュエーションを使うシーンが多すぎる・・・特に橋の上、10回ぐらいは使われたと思うのだが、ただでさえ起伏がない展開で同じシチュエーションなのだから、退屈さは倍増されていくだけである。とにかくここに最大の怒りを感じたことは間違いない。
この作品に対して、もうこれ以上書くこともないだろう。
(IE5)
山のあなた 徳市の恋 - goo 映画
もう少しサービスを
~'08ホラーサスペンス特集(3)
原発事故によって双子の姉妹の華織と紗織はバラバラになった。封鎖された30キロメートルの範囲に住む華織は、一種の無法地帯と化した封鎖地区で、同じくそこに住む一風変わった住人達と交流しながら一種のサバイバル生活を送っていた。「原発事故によって封鎖された現代日本」という魅力的な舞台に孤独な若者の殺伐とした生活が描かれる一種のSF青春小説(だと思う)。
前作について
作者に興味を持ったのはデビュー作品の設定だった。ゴミ捨て場に捨てられた少年の残酷な運命をテープに吹き込まれた少年の独白という形で描いた作品(D‐ブリッジ・テープ)だ。しかし、虫を食ったり、自分で足を切断したり、そういった残酷描写が目立つ他は「これだけでは何とも」というのが正直な短編だった。そこで、その次の作品に当たる本作も続けて読んだ。設定は至極魅力的だ。期待は膨らむばかりだった。
分かりにくい設定
物語は封鎖地区で生活している華織の描写からいきなり始まる。異常な設定のSFでは前置き無しで始まるのはよくある事なのだが、これが実に分かりにくい。主人公のキャラクターが掴めないうちから、結構キツイシーンなどで物語が展開するが、感情移入できていないので読者は置いてけぼりになるのである。それならそれで、もう少し面白い見せ方をしてくれたらいいのだが、どうも何を伝えたいのか分からない。結果、何となく残酷な描写だけが上滑りしていく印象だ。それもリアリティがない。
分かりにくい構成
分かりにくい原因はまだある。普通の物語の進行に、別のシーンがかなり頻繁にインサートされるのである。それは事故の様子だったり、紗織の視点だったりするのだが、正直うっとうしい。こんな構成にするくらいなら、はっきりと情景を描写して欲しい。作者としては劇的な効果を狙ったのかもしれないが、ただでさえ分からない情景が余計に分からなくなる。娯楽小説の読者はそれ程親切ではないので、作者の意図をじっくり考えてはくれないのだ。魅力的なキャラもいるのにいつまで経っても感情移入できないのは辛かった。
もう少しシェイプアップを
これだけ魅力的な設定を持ち出しながら、それを生かしきれていないというのが全体の印象だ。前作でも思ったが、周りの社会の反応が余りに不自然だ。ゴミ捨て場で少年が生きていたらすぐに話題になるだろう。原発事故現場でそんなに簡単に一般人が生活できるのか。そんなに社会が混乱していたのか。ネタを整理してシェイプアップすれば、もっと面白かったのにと思うと残念でならない。若い世代の共感が多く、ネット書評でも余り酷評されていないのが不思議だ。しかし、この世間を拗ねたようなある種の孤独は青少年期にこそ共感できるのものなのかもしれない。俺は余り楽しめなかったが。
(Kiura)
評価点:35点 ~サバイバル青春残酷小説
作者はどうも「食べる+残酷さ」に興味があるようで、そこだけリアル。カニバリズムにまで手を伸ばしているが、大岡昇平「野火」のあの何ともいえない冷たく嫌な感じには及ばない。まるでそこだけスプラッター映画だった。
Kiuraの前ブログ読書ノートKY+Sにあるサスペンス・ミステリー・ホラー系の作品一覧です。
文章が「です、ます」調なのを除けばほぼ同じ内容なので参考にどうぞ。一言コメント付けました。
(Exciteブログに飛びます)
<70>001 硝子のハンマー/貴志祐介(角川書店・1600円) 硬派の密室ミステリー
<55>002 夏の滴/桐生 祐狩(角川ホラー文庫・780円) トンデモ結末に注目
<30>003 呪怨/大石 圭(角川ホラー文庫・630円)志村、うしろーっ!
<75>004 隣の家の少女/ジャック ケッチャム (扶桑社ミステリー・720円)読後感最悪度歴代一位
<50>005 ブラジルから来た少年 /著・アイラ・レヴィン (ハヤカワ文庫 ・632円)ヒトラーネタ
<50>006 バトルロワイヤル/高見 広春(太田出版・1554円)至って普通の一発ネタ
<60>007 覘き小平次/京極夏彦(中央公論新社・1050円) 正しい現代の怪談
<65>008 ローズマリーの赤ちゃん/著・アイラ・レヴィン(ハヤカワ文庫・672円) 妊娠中は注意!
<55>009 岡山女/岩井志麻子(角川ホラー文庫・500円) 幻想怪奇譚
<30>010 死の泉/皆川 博子(早川書房・2100円) 恐怖のダウナー小説
<70>011 Q&A/恩田陸(1785円・幻冬社) 今までにないパターン
<55>013 邪魅の雫/京極夏彦(講談社・1680円) 何かが違う
<62>014 肉食屋敷/小林 泰三(500円・角川書店) グニャリと不気味
<90>015 黒い家/貴志祐介(714円・角川書店)最凶リアルホラー
<55>016 鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで/宮部みゆき(620円・光文社) 超能力がテーマ
<50>017 怪談・奇談/ラフカディオ・ハーン・著(504円・角川書店) 古典にも光るものが
<59>018 感染/仙川環(580円・ 小学館) 読みやすさは評価できる
<63>019 孤虫症/真梨幸子(1680円・講談社) 痒い、キモイ、エロい
<50>020 あくむ/井上夢人(510円・集英社)題名がネタバレ
<35>021 死国/坂東真砂子 (567円・角川書店) 幽霊と三角関係
<70>022 ぼっけえ、きょうてえ/岩井志麻子(480円・角川書店) 表題作だけなら85点
<55>023 魔法の水/編集・村上龍(504円・角川書店) 色んな意味でオールスター
<60>024 神鳥―イビス/篠田節子(集英社・570円) 奇妙な主人公コンビ
<88>025 火車/宮部みゆき(900円・新潮社) 社会派なのに大エンターテイメント
<94>026 模倣犯(一)~(五)/宮部みゆき(新潮社・620円~820円)これは傑作だ!