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白黒つけるアメリカの恋愛には灰色って無いのか?
「プラダを着た悪魔」の脚本化(アライン・ブロッシュ・マッケンナ)が服にまつわる物語として今作も担当、デザイナーなども同作のスタッフが担っているだけ合ってセンスが良い。アメリカの恋愛映画は星の数ほど作られているが、日本映画と比べて大きく違うのは、セリフのセンスの良さと恋の行方に白黒ハッキリつけるという点。あなたが好きだけど私の心で忍びます・・・というようなシチュエーションは殆ど見られない。好きなの?嫌いなの?ハッキリして!という感覚が国民性に合っているようで、映画としてみてもポップで分かりやすい・・・逆に言えば軽すぎるのかもしれないが。勿論、重厚な恋愛映画も多々ある事は追記しておくが、どちらかというと恋愛映画はポップな方が楽しめる!こういうエッセンスを日本映画でも取り入れていくと面白いものができるに違いない。
アメリカの結婚式ではブライド・メイド(花嫁付添人)と呼ばれる結婚式にまつわるありとあらゆる世話を手伝うというポジションがあり、それは大の親友がするものらしい。その知識さえ序盤で披露ことができたらこの映画は楽しめるだろう。色んなタイプの結婚式会場や演出など結婚の予定がなくても楽しめるし、ましてや結婚を夢見る人なら一層興味深いだろう。
<GOOD POINT>
1.まず主人公の設定が上手い。自らもブライダル関係の仕事に就きつつ、ブライド・メイドに生き甲斐を感じる結婚適齢期を逃しつつある女性・ジェーン(キャサリン・ハイグル)、いつも他人の幸せを祝うことを自分の幸せと無理矢理信じ込んでいる所に哀しさがある実にユニークなキャラクターである。更に密かに想いを寄せている上司・ジョージ(エドワード・バーンズ)をジェーンと対照的に自由奔放に生きてきた妹・テス(マリン・アッカーマン)にアッサリと奪われてしまう構成は分かりやすいけど良く練られている。やっぱりコメディーの主人公はネクラよりネアカが良いというセオリーはここでもしっかし守られていた。あとジェーンの女友達(ジュディ・グリア)の時に優しく時に厳しいという存在が映画に大きく貢献していることも付け加えておきたい。
2.タイトルでもある、27着のドレス。この使い方も非常に効果的だった。ドレス自体に全く罪は無いのだが、これが脚本次第で悪(新聞掲載)になったり奇跡(ラストの結婚式)になったりするのである。感心したのはやはりラストの結婚式での使い方、その前にゴミ袋に押し込めていたというシーンを見事に裏切ってくれたナイスなアイデアだった。そしてドレスのデザインも素晴らしく、わざと格好悪くみせているドレスもセンスの良さをチラリと見せている。そして結婚式という幸せしか生まれないシチュエーションではどんなドレスも輝いて見えるということを暗に示していると感じた。
3.ジェーンとジョージがキスをして愛を確かめるシーン。これは賛否あるかもしれないが、アメリカってやっぱり白黒つけたがるんだなと思って面白かった。まぁコメディだから成立しているのかもしれないが、ドロドロ別れるよりも数倍良いシーンに思える。こういったのを日本でやったら「ありえない!」ってなるんやろけど。
<BAD POINT>
1.核となる肝心のジェーンとケビン(ジェームズ・マッデン)が恋愛を成立させるまでの過程がまどろっこしい、特に前半にジェーンとその周辺の紹介に時間を割きすぎた為にケビンの登場が遅すぎた感が否めない。恋が成立したあとに新聞掲載事件で恋が決裂というアイデアも良く、せっかくケビンも面白い設定で作られていたのに、なんかハッピーエンドになるまでが簡単すぎた印象で残念だ。
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幸せになるための27のドレス - goo 映画
この予告編だけでポップな感じが伝わるハズ。
松竹映画シリーズを担う作品として上々な船出
松竹は「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」の映画シリーズ路線を引き継ぐべく次の題材として選んだのがこの作品。かつて「虹をつかむ男」もシリーズ化をしようとしたハズだが記憶が曖昧・・・とりあえず2作品で終わっている、松竹としては「釣りバカ」の主役級が年齢的にも高くなってきたために早く次の原石を探していたことだろう。それだけにこのグルメ漫画「築地魚河岸三代目」を選んだ裏には相当な決断があったと思われる。
そういった裏の事はさておいて、映画の方はスタッフと製作者の作品にかける意気込みが伝わる非常に丁寧な作りになっている。松竹伝統の人情ドラマを起点としているのだが、そのままやっていたのではこれからのシリーズ化に期待する若い新たな観客を期待できない。そこでキャストを思いきって若手中心(荒川良々、江口のりこ、これが絶妙なバランス)にもってきたことが成功している一つの要因だろう。同じ脚本でも平均年齢があと5歳くらい上だったら全く違った印象になっていたに違いない。
「男はつらいよ」の渥美清も「釣りバカ日誌」の西田敏行も相当な実力の俳優だ、そういう意味では主役の大手サラリーマン・旬太郎役を務める大沢たかおは結構プレッシャーがあるのではないだろうか?まぁユニークなキャラでは大先輩に勝つことはほぼ不可能であるので、違った魅力を探っていく必要はあるだろう。個人的には「無鉄砲な誠実アンちゃん」というキャラにその可能性があるとおもうのだが。
<GOOD POINT>
1.サラリーマンの旬太郎が恋人・明日香(田中麗奈)の家業が築地の魚河岸である事を知ったことから、最終的に三代目としての修行のスタートラインに立つまでを1作目では描いている。つまり、魚河岸としてのシーンは殆ど脇が固めており、第1作目に関しては自分の将来に疑問を持つ主人公の心の葛藤と築地で働くクセのある人物を上手く紹介しつつドラマの基盤を作っている印象がある。これは「男はつらいよ」の第1作目とほぼ同じ見せ方だと思う、たしかさくらとひろしが結婚するしないでもめながら寅さんや周辺の主要人物上手く紹介していた。これだけしっかりと描いていれば、二作目以降の物語も色々と拡げることができるというものだ。
2.「男はつらいよ」ではマドンナとの恋愛がお約束だが、この作品ではおそらく恋愛よりもケンカがお約束になるのではないだろうか?まぁ血みどろのケンカはありえないので、殆ど口ゲンカか一発殴るかぐらいのもんだろうが・・・しかし、最近ではこういったオーソドックスな争いも殆ど見ることがないが見ていてすがすがしい。陰険でイジメ的な争いが多いので逆に新鮮に映るのである、これも松竹映画だからこそ成立するんだろう。やっぱりお家芸というのは馬鹿にできない。
<BAD POINT>
1.間口を広くしようとして分かりやすく丁寧にという事は評価できるのだが。何もテレビ的にしなくてもと思うような手法が時々見られた。特に近距離なのに画面を二分割にするというのはやめて欲しい。テレビでは無く最後まで映画というものを感じさせて欲しいのである。
ちなみに次作は来年に公開決定だそうです。
(IE5)
築地魚河岸三代目 - goo 映画
予告だけでは良さが伝わらないかもしれないが。
全ての要素が高レベルでぶつかる濃密な映画
監督・脚本を務めたポール・ハギスは「ミリオンダラー・ベイビー」や「父親たちの星条旗」の脚本家でもあり現ハリウッドで相当に力のあるイーストウッドの後押しもあって今作の映画化にこぎつる事に成功したらしい。鑑賞した上で想像すると、おそらく脚本を読んだ時点では相当地味な印象なのかもしれない、しかしこれを映画化できたことはハリウッドにとっても良い誤算だったに違いない。現在のハリウッドは日本と同じくオリジナル企画の数が無く、リメイクやアメコミや漫画などの原作ものに頼らざるを得ない状況が続いているが、やはり力のある者が作った作品はレベルの違いが一目瞭然である。
しかしながら人間ドラマを重視する映画というのは、それほどヒットが難しいのだろうか?「花より団子 ファイナル」が早くも「インディジョーンズ クリスタル・スカルの王国」を抜くみたいな事を言っていたが、どう考えても観客の低年齢化が進んでいると思われる。「告発のとき」のような映画がアンテナに引っかからないであろう今の十代の若者達が将来的にもアンテナが伸びないまま映画を離れていく様な気がして堪らないのだが・・・これって映画ファンにとっては結構危険と思うのだがファン以外の人にはどうでもいい事なんだろうなとも思う。
<GOOD POINT>
1.脚本、演出、役者、画、どれをとってもレベルが高い。特に脚本は素晴らしく、今のアメリカ社会に潜む闇のテーマを上手く料理している。しかもそれを押しつけがましくさせない工夫として、三人の息子全員が出征している退役軍人のハンク(トミー・リー・ジョーンズ)と妻(スーザン・サランドン)一家が抱える問題や地元警察として働く一児の母・サンダース刑事(シャーリーズ・セロン)が抱える仕事と家庭の葛藤などが絶妙なバランスで盛り込まれている。ポール・ハギスは「007 カジノロワイヤル」も脚本しているのでアクションも描けるのだが、この映画では控えめに上手くそれを利用しているのもミソ、実にすばらしい。
2.まぁ今更ながらトミー・リー・ジョーンズの演技を褒めるまでもないが、今回も実に素晴らしい。「ノー・カントリー」も良かったが出演シーンはそれほど無かったのでむしろこの作品の方がファンとしては楽しめるだろう。しかしシャーリーズ・セロンもあれだけ美人で演技が上手いとなる所にハリウッドのレベルの高さがあると思う。あっちはただ顔が良いだけじゃ全く通用しないんだろなぁ。あとバーでトップレスになるマダムも素晴らしい、あの年齢(おそらく60前後)でトップレスになること意味が映画の中であることを知っているのである。あの垂れかけた乳とジーパンからはみ出た脇腹、そしてシワシワの手・・・向こうの役者って絶対に役になりきっていると思う、じゃないとこんな演技できないハズだ。更にこの後の喫茶店では服を着たマダムとハンクが再会するシーンがあってちゃんと芝居所をあたえている所が好感がもてた。
3.イラクの状況をつたえる携帯カメラの映像、これってどうやって撮ってるんだろうか?本当に携帯で撮った映像を処理しているのかとも考えたが・・・それは結構リスキーだろうとも思えるし。35mmのフィルムで撮るには難しいだろうし、ビデオカメラにしても荒れすぎているし・・・。とにかく良く出来ているのである。ダウンロードでちょっとづつ見せていくアイデアは良くもあり悪くもあるのだが。
<BAD POINT>
1.そのダウンロードのアイデア自体は良い発想と思うのだが、どうしてもそれに頼ることで物語の謎を解決する事になってしまっているシーンが幾つかあったことにご都合的な要素を少なからず感じてしまった。まぁ使って効果があるのは、1回だけなんだろうな・・・。
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告発のとき - goo 映画
予告編も重厚です。
先取りした時代も読むのが遅すぎた
~'08ホラーサスペンス特集(8)
日常生活が何ものかに侵食されていく……という内容の表紙裏の紹介文に惹かれて購入したが、中身は完全なSF作品。宇宙船のエンジニアに憧れる少女が、崩壊していく世界の謎を探る。ホラー要素もあるのだが、一般的なホラーではなく、どちらかというとモンスター物に近い。そして、話のポイントは分かりやすく言えば某有名映画と全く同じだが、1986年に書かれているのでこちらの方が13年も早い。
昔懐かしいSF
ここの所、あまり日本人作家によるSFを読んでいなかったので、横文字名前の設定が懐かしい。対象年齢設定も完全な大人向けというより、中高生ぐらいがではないかと思う。近い雰囲気だと思ったのが、萩尾望都的SF世界(「11人いる!」など)だ。ちょっとテンション高めの会話劇はいかにもである。
途中で転回する
目次を見ると一目瞭然だが、途中で話の軸が大きく変わる。ここが一つの大きな山場である。このオチが前述した通り有名映画と同じなのだが、実は同じようなネタを自分も小説にしようと考えていたので、これはSF的には非常にオーソドックス(になってしまった)パターンなのかもしれない。当時の年代で読めば衝撃的だったのかもしれないが、何分20年以上前のSFである。「ああ、このパターンか」というのが正直な感想だ。
それなりに面白いが
途中の山場までは、幻想的な要素も含め少々退屈だった。作者がやりたいことは分かっているので、「その先」が気になるのであまり集中できない。一方、「その後」は漫画的な内容も含め脱力するのだが、一方でそこそこ楽しめないこともない。書かれた時代はコンピューターが未発達な状態だが、設定がそれ程科学的に精密でないのが幸いして、逆に古くなっていない。
ホラー文庫について
このホラー・サスペンス特集でも作品を探していると、よく角川ホラー文庫に出会うが、これがまた玉石混交過ぎて、ブランド買いできないのが辛いところ。「黒い家」や「ぼっけえきょうてえ」のような作品があるかと思うと「呪怨」があったりして、不用意に手が出せない。この作品も同じホラー文庫だが、ホラーというには少々苦しい。結末が少々荒っぽい気もするが、年代も考慮すれば、まずまずという所ではないか。
評価点:52点 普通のSF
あまり年代にこだわるのもどうかと思うが、テーマ的には10年くらい先取りしていたのではないかと思う。逆に言えば10年前くらいの流行ともいえる。ちなみに某映画とは(白反転します)マトリックスです。
良く出来た2時間ドラマ
~'08ホラーサスペンス特集(7)
心臓の特殊な手術であるバチスタ手術、成功率が低いこの手術で奇跡的に成功を続けているチームがあった。東城大学医学部付属病院の桐生恭一のチーム、通称「チーム・バチスタ」である。ところが、立て続けに手術に失敗し、患者が死んだ。果たしてこれは事故なのか、それとも殺人なのか。この謎に、内部調査を命じられた同じ大学の医師・田口公平が挑む。医療をテーマにしたベストセラー。その実力はいかに。
興味を引かれるドラマ
この作品は、本質的にミステリーではない。犯人探しの要素はあるが、それは主なテーマではないと感じた。この作品は、本質的に医療をテーマにした軽妙な会話劇だ。登場人物のキャラクターを立たせることに注意が払われており、それは会話や主人公のモノローグで進行する。細かく章を区切ることも忘れない。途中まで読んで、似た印象のものを思い出した。これは2時間ドラマ的なのだ。
決して悪くはない
映画に2時間ドラマといえば、ほとんど悪口だが、小説に対しては必ずしもそうではない。2時間分気軽に飽きずに楽しめ、ちょっとした余韻もある。この作品がこれだけ売れているということは、この「軽さ」に対してはかなりのニーズがあるということだろう。キャラクターも立ってはいるが、どことなく漫画的、小説的に言えばあと少しでジュブナイル小説というところだろう。酷評できる要素はあるが、全体のバランスはよい。
オチが納得できない
個人的には、犯人が納得できない。というより、謎解きが謎解きになっていない。ミステリーは、読者が予想していた展開を超えたトリックや謎が明かされた時にこそカタルシスが生じる。ところが、この小説は、専門的な医療がテーマなので、予想しようがないのである。「不可能な状態(密室)で何かが行われているということはわかるが、その不可能な状態が本当に不可能なのか確かめようがない」のである。主人公が一応、丁寧に調査していくが、読者を作者目線の「常識」に高めるほどではない。
印象には残る
後半登場するホームズ役の白鳥というキャラクターは非常に印象に残る。破壊的なキャラクターで、京極夏彦の京極堂シリーズをご存知の方なら「榎木津」と言えばわかるだろうか。ただし、快刀乱麻を断つ、という存在なのだがエキセントリックすぎて感情移入できなかった。前半の丁寧な流れの方が好感が持てた。このキャラクターがいないと凡作になっていた可能性もあるが、これはやりすぎだろうと感じた。総合すると、気軽に楽しめる医療ドラマという意味では秀逸、好きか嫌いかといえば「それほど」、人に薦めるなら「軽い読書を求めている方に」という感じである。
評価点:64点 軽妙な医療会話劇
以前に「四日間の奇跡」で騙されてからは、ミステリーのランキングは参考程度にしか信用しなくなったが、この作品が大賞というのもいかにも信用できない。いっそ「このミステリーは読みやすい」くらいにした方がいいのではないか。
ちなみに、ホラー要素はもちろん0。サスペンスとしてはまずまず。
(Kiura)